老化に伴う疾患も減るんですよね。

今井:今回の実験では目の機能も調べました。我々が使用しているマウスは年を取ると目の網膜に炎症が起きます。ところが、100mg/kg/日と300mg/kg/日を与えたマウスは炎症がなくなっていました。じゃあと思って調べたところ、網膜の視細胞の機能が向上していました。年を取ると涙が出にくくなりますが、涙の量もNMNを与えていないマウスよりも増えています。

 その他にも、骨密度が増えるということが分かりました。今回の実験では直接評価していませんが、免疫機能も回復するということが予想されています。このように、マウスによる実験では老化に伴う様々な機能低下がNMNの投与によって食い止められるということです。

NMNを投与しているマウスのグループは、6カ月若い状態になっていた (写真:ProPhotoSTL.com)

野菜やフルーツに比較的多く含まれる

NMNはどういった食品に多く含まれているのでしょうか。

今井:おおざっぱに言うと、野菜やフルーツには比較的多いようです。タネのようなもの、言い換えれば芽のために栄養価をためているような部分に多く含まれているのではないかと考えています。例えば、私たちが調べたところでは枝豆やアボカドにかなり含まれています。 逆に、牛肉やシーフードにはあまり含まれていません。

 実際のところ、かなりの量を食事で摂取していると思われますが、年を取ってNMNの合成量が落ちてしまうと、食事だけでカバーしきれなくなるんだと思います。そのため、NMNを補填するということが極めて重要になる。NMNを体内に取り入れれば素早くNADに変換され、多岐にわたる抗老化作用を示しますので。

ヒトへの臨床研究が楽しみですね。

今井:現在、慶應義塾大学医学部でNMNの第1相臨床試験が実施されています。第1相は安全性と血中への移行、つまり体内血中動態を見る研究ですので、恐らく今年中に終わるのではないかと思います。その後、安全性を確認して、本当に効くのか、効果のテストに入ると思いますが、それも来年いっぱいかかるという程度で、そんなに先の話ではありません。

その後に大規模な臨床試験に移行するわけですね。

今井:いえ、今回は薬としての開発ではありませんので、効果が確認できた時点で販売可能な状況になると思います。サプリという言葉は科学的な裏付けがないものが多すぎるので使いたくありませんが、去年の6月から施行されている機能性表示食品のような形で市場に出ると思います。