オープンソースソフトウエア(OSS)関連サービスを手掛ける米レッドハットが業績を伸ばしている。2017年6~8月期の売上高は前年同期比21%増の7億2336万ドル(約820億円)で、利益も市場予想を上回った。
無償基本ソフトの「Linux(リナックス)」やクラウド運用ソフトの「OpenStack(オープンスタック)」などが普及したことで、安価かつ高速にシステムを開発するためには、OSSを活用することが不可欠になっている。一方で、サポートなどの面でOSSが課題を抱えるのも事実だ。レッドハットは、OSSの開発者と利用企業の間を橋渡しすることで、急速に業績を伸ばしている。来日したジム・ホワイトハースト社長兼CEO(最高経営責任者)に、同社の戦略を聞いた。
(聞き手は小笠原啓)

IT企業が米国の株高をけん引している。レッドハットの株価も年初から約7割上昇した。2000年代初頭の「ITバブル」の再来ではないのか。
ジム・ホワイトハースト氏(以下、ホワイトハースト):株の専門家ではないので確実なことは言えないが、レッドハットは多くのフリーキャッシュフローを生みだしており、それが株価に反映されている。
市場はテクノロジーがユーザーにどんな価値をもたらすかを判断して、株価に織り込んでいる。金利はほぼゼロになっていて、だぶついた資金が成長領域を探しているのは事実だ。損失やキャッシュフローと比較して、高く評価されている企業は存在する。だがレッドハットに関しては「バブル」ではない。
レッドハットが手掛けるのは、無償基本ソフトの「Linux(リナックス)」やクラウド運用ソフトの「OpenStack(オープンスタック)」といったオープンソースソフトウエア(OSS)だ。無料のソフトウエアで、どうやって稼いでいるのか。
ホワイトハースト:OSSではソフトウエアのビジネス手法が大きく変わる。(ソフトウエアの設計書に相当する)ソースコードが公開され、無償で入手できるようになったことで、多くの企業が支払うライセンス費用などが安くなった。そうした背景から、レッドハットの販売量が増えている。
一方で、アプリケーション開発に必要なドキュメントの整備や、古いバージョンのソフトウエアをサポートするライフサイクル管理、機器の認証などはOSSを使う際にも必要だ。レッドハットはそうした領域で企業から対価(サブスクリプション)をもらっている。実際に、伝統的なソフト企業と同等のマージンを稼いでいると考えている。
クラウドやAI(人工知能)、ビッグデータなどの進化は、OSSが無ければ実現しなかった。活用事例が広がると市場全体が活性化し、大きな成長につながっていく。
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