平林:一応、3年目をめどに、そういったところの実証をしたいと思っています。それに向けて、今年度はデータをためていって、来年度はそれを統計データとしてどう活用していくか。3年目は、ワン・ツー・ワンでちゃんと顧客にアプローチできるような形をつくれればいいなと考えています。

マイナンバー活用も視野、日本人にもVRM普及するか

 外国人でも、日本人でも、やはり利用者がメリットを実感できるかどうかですね。業者側に、利用されているというようなイメージがついてしまうと、何か協力したくないなと、思うのではないですか。

平林:成功体験をどうつくっていくかということだと思っています。個人情報を取り扱うので、システム的には相当堅牢な形でつくっていこうと思います。

VRMで、個人情報を自分で管理して活用するというコンセプトは分かります。しかし、先にお話の出た、家計管理サービスのアプリなどでも、複数の口座情報やパスワードなどを、一業者に集めてしまうのが、逆に怖いという消費者は少なくないと思います。

平林:そこもやはり、情報を集めるだけで終わっていると、そういう印象をもつひともいるでしょう。金融機関も、集まったデータをどのように活用できるか、どんなメリットを利用者に提供できるか、模索しているのだと思います。

経済産業省が主導して、おもてなしプラットフォームを進めているわけですが、将来的に、日本人向けに、おもてなしIDの代わりに、マイナンバーを活用するという、発想もあるのでしょうか。

平林:そうですね、そういう発想はあり得るのだと思います。

 なぜ今回、外国人向けで進めているのかということなのですが、通常の日本人向けのビジネスでは、大企業はやはり顧客を囲い込みたいというところがほとんどです。顧客の情報を、多数の企業間で流通させるという発想が現状では、ないのです。

 そこを、インバウンドというところへ、視点を変えてみれば、そもそもデータを集めて何かやっているところって、そんなに多くない。さらに観光立国として、外国人の消費を拡大しようという共通のテーマもある。だから企業が、「オールジャパン」として一致団結して、データ流通をやろうと言えば、まとまりやすいのではという発想があるのです。これでうまくいけば、日本国内の日本人向けにも同じことができるのではないかというのは、経済産業省の担当者レベルでは議論されていると思います。

VRMの進ちょくについて、先行する海外の状況はどうですか。

平林:英国では2011年ごろから、政府が競争政策の一環として、情報を開示するような政策に取り組んできました。「消費者への権限移譲」を通じた事業者間の競争促進を主要戦略のひとつとしました。

 米国でもオバマ政権が政府の情報の透明化を進めようと、まずは政府データを、民間に開放していくというようなところからスタートしています。米国の国民性もあって、民間で自然発生的に情報の流通が進んでいる面もあります。