大資本でなくても、商品・サービスで競える

金融以外に限らず、様々な商品やサービスに応用できるのですか。例えば、いろいろなサイトで洋服を買っている人が、その履歴情報を集約して、ある企業に見せると、最適のおすすめ品が届くというような。

平林:服でもいいですし、住宅でもいいですし、いろいろな世界で、情報を開示して、それに企業が応えていくというようなことができるのではないかと思います。そういった世界が訪れると、企業側には消費者ニーズに応えるためのイノベーションが起こり、産業も活性化するというのが大きな狙いです。

 もう一つ重要なところは、これまでは「楽天ポイント」や「Tポイント」を運営するような資本力がある企業なら、幅広いデータを持って、個人の実態をしっかりとらえることができた。一方で、中小商店などは、なかなかできませんでした。しかしVRMで、個人が自分の情報を開示するようなプラットフォームができれば、規模が小さい企業でも、情報にアクセスができ、本当の商品力やサービスで勝負できるようになります。

 政府の成長戦略も情報活用の重要性を強調し始めました。

平林:政府が今年度に出した成長戦略は、「第4次産業革命」がキーワードです。政府のIT戦略の骨格としては、「世界最先端IT国家創造宣言」というものが策定されていますが、そこではVRMと同じような考え方が入っています。

 経済産業省は訪日外国人向けのプロジェクトである「おもてなしプラットフォーム」の取り組みを進めており、このプロジェクトに、当社と大日本印刷などが一緒に、参画しています。

これは訪日外国人の個人情報や買い物の履歴をプラットフォームに蓄積することで、外国人が手厚いサービスを受けられるというような、コンセプトでしょうか。

平林:そうですね。基本的には、そういったところを目指しております。

まず10月から一部地域で実証実験がスタートしました。関東では神奈川県の湯河原、箱根、鎌倉で、指紋認証を使って、手ぶらでの決済、ホテルのチェックイン、様々な体験ブログラムへの参加などが、できるような取り組みだそうですね。

平林:1年目は、まだ時間が足りない面もあります。関東、関西、九州の三地域で実証を始めまして、来年度に向けて、どう拡張していくかといったところを、議論していきます。

 訪日外国人の方は、再来日する例が非常に多いようです。一度、来日したときに、おもてなしプラットフォームでID登録をしていただければ、そこにデータをどんどんためていけるので、旅の思い出を1カ所で管理していくような形になる。どこの地域に行っても、そのIDだけでサービスが受けられるようにしたいのです。

 それができると、外国人の方に何がメリットかというと、例えば前年度に新潟に行って、日本酒をたくさん買った方がいるとします。2年後に日本に再来日したときに、宮城に行きます。過去来日したときの自分の買い物体験を宮城の業者に開示しておくと、宮城にあるたくさんの酒蔵から、ピンポイントのアプローチが来る。そんなイメージで仕組みをつくろうと思います。

そのあたりが、初めに説明いただいたVRMの考え方が入っているのですね。