財産や買い物の情報を自ら開示するメリットは?

マネーフォワードのような仕組みは確かに情報の一覧性はあると思います。しかし企業ではなくて顧客が自分の情報を能動的に管理・活用するという、VRMのコンセプトには直結しない印象です。

平林:そうですね。ただ、これまで銀行が個人の口座情報を、第三者に渡すということはあまりなかったと思います。しかし、家計簿管理のサービスでは、アプリケーション上に、自分のアカウントをつくって、そこにデータを入れていく。つまり、各銀行がもつデータを、マネーフォワードなど第三者が提供しているサービス上に全部乗せるという形です。微妙なニュアンスではありますが、そこは自分のコントロール下に置くという考え方ができるとは思います。

 VRMの考え方は、ある企業が持っている個人についてのデータが、第三者に開示されることで、その個人が最適なサービスを受けられるようになるということです。

 情報を第三者に開示すると、消費者にはどんなメリットがあるのでしょうか。

平林:銀行取引や資産運用を例にとります。例えば、僕が三菱東京UFJ銀行に100万円の口座をもっていて、資産運用も500万円やっているとします。一方で、みずほ銀行には10億円も預けていると。そのときに、三菱のデータだけだと、多分、三菱は資産がそんなにない人だと思って、大した提案はしてこないでしょう。

 それに対してVRMでは、複数の口座にある自分の個人情報を集約して、どこかに預けておくわけです。その預け先を、パーソナル・データ・ストア(PDS)と呼びます。そしてその集約された全財産のデータを、例えば、三菱に見せることで、何かいい産運用は考えられないのかという話ができる。そうすると、自分にとって最適なサービスを受けることができるのではないか。これがVRMのコンセプトです。