核燃サイクルを維持に「統合型高速炉」の活用を

こうした状況を解決する技術があると、主張していますね。

田中:私は、「統合型高速炉」という技術に注目しています。米国のアルゴンヌ国立研究所の技術で、高速炉に乾式再処理技術を組み合わせた、プルトニウムが外に出ない形の核燃料サイクルを実現するものです。核不拡散の観点から優れていると同時に、安全性も高い。1986年に全電源を喪失させる実験をしているのですが、無事に原子炉が停止しました。さらに、この統合型高速炉から出てくる核のゴミは、天然ウラン並みに毒性が落ちる期間が300年程度と、これまで30万年から10万年と言われていた状況から大幅に短くなる。

 私は、こういう原子炉と再処理を一体にした小型の施設を各地方に配置し、地方分散型、地産地消型で原子力を活用する方が良いのではないかと考えています。六ヶ所村だけに作るという発想は、限界だと思います。高レベル放射性廃棄物を捨てる場所が見つかればよいですが、なかなか難しい。むしろ、原子炉で出たゴミは、その地域で処分するという発想に転換した方がいいでしょう。

 300年で天然ウラン並みに毒性が落ちるゴミなら、地上でも地下でも、管理するのはそれほど難しくない。統合型高速炉を各地に作れば、これまでたまっている軽水炉の使用済み核燃料をそこで処理していけるオプションができる。地産地消型の原子力は、将来の1つのビジョンになりうるのではないでしょうか。

 また、福島第一原子力発電所から、溶け落ちて固まった燃料デブリを取り出した際、それを処理する技術が今後、必要になります。それにも、統合型高速炉は活用できるでしょう。

もんじゅの時のように、莫大な資金を投じてもうまくいかなかったということになる恐れはありませんか。

田中:それはおっしゃる通りですが、やってみないと分かりませんよね。アルゴンヌではある程度の実証がなされていますので、実験してみる価値はあるという気がしています

 原子力を将来も活用するのであれば、今の軽水炉の技術のままでよいのでしょうか。安全性や核のゴミの問題を考えれば、早いうちに新しい技術に切り替えていく必要があるでしょう。2018年には日米原子力協定の改定期を迎えます。日本の核燃料サイクルを日米原子力協定の枠組みの中で続けていくには、きちっとしたモデルがないとダメです。

 日本が核燃料サイクル路線を続けるのならば、具体的にどういうやり方で何をやっていくのかというビジョンを示さないと、協定の改定や延長は今後、難しくなっていくのでないかと心配しています。

 米国にも、日本がプルトニウムを持つのはおかしいから再処理なんてやめろという人がたくさんいますよ。米国が気にしているのは、プルトニウムが蓄積することによる核不拡散上のリスクです。統合型高速炉でプルトニウムをゴミとして燃やしてしまうことに、米国が異を唱えるとは思えません。