ロシアが困っている今がチャンス

なぜ、ロシアはこれほど積極的なのでしょうか。

田中:エネルギー価格、特にガスの価格が低迷しているからです。ロシアにとってガスの主要な売り先は欧州ですが、ウクライナを経由するパイプラインでヨーロッパに送らなければならないという地政学的なリスクに加えて、欧州の景気が悪いうえにロシアに制裁をしているので需要が伸びない。

 となると、アジアにも売りたいとなるわけですが、中国は安く買い叩こうとしている。一方、ロシアはできるだけ高く売りたいので、価格はなかなか折り合いがつかない。中国しか売り先がないと買い叩かれるので、ロシアは日本や韓国とも取引をすることで、中国をけん制する狙いもあるでしょう。

 中国とロシアは関係が悪いわけではありませんが、互いに信用しているわけでもありません。安倍政権がロシアに接近しているので、ロシア側はいろいろなディールをするチャンスだと見ていることは間違いないでしょう。

 日本側もロシアに一方的に利用されないように、したたかに対応すべきです。むしろ、ロシア側は困っているわけですから、安く買うチャンスです。リスクはありますが、今買わないでどうするんだとも思います。

 もし、民間だけで資金を出すことが難しいのなら、国が何らかの形でお金を出して利権を押さえていくことも必要ではないでしょうか。今回、国際協力銀行(JBIC)が随分とお金をつけようとしています。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の出方はわかりませんが、いずれにしても、国が一定のリスクを肩代わりすることは、特に資源関連では自然な流れだと思います。

ロシアからの電力輸入は発送電分離とセットで

ロシアから電力を輸入する話については、国内の電力会社は否定的なのではないでしょうか。競争が増えますし、電力供給の安定性が揺らぐかもしれない。

田中:地域独占で長らくやってきた電力各社にとっては、競争が増えるという意味で、海外からの電力輸入は当然、嫌でしょう。いつ、供給がカットされるかわからないようなリスクを抱えている電源には頼れないとも考えるに違いありません。しかし、日本の電力市場改革の行方によっては、あり得る話だと思います。

 つまり、発電と送電を担う会社を分離する発送電分離が完全に進み、小売りも完全に自由化されれば、外国から電力を買うのはそれほど難しくないと思います。ロシアからの電力輸入は、発送電分離の議論とセットで考える必要があります。