日露間の「エネルギーブリッジ」に複数シナリオ

すいぶんと壮大な構想ですね。

田中:韓国の朴槿惠大統領も支持するようなことを発言しています。日本では、決して賛成する人たちばかりではありません。安定供給はできるのか、ロシアや中国は信用できるのかという議論があり、必ずしもどんどん進むということではないでしょうが、隣国は日本がエネルギーを必要とするときは、私たちは協力できるよと言っているように見えます。お互い、電力網をつなぐことで、電力消費量がピークになるタイミングをずらすとか、再生エネルギーを使いやすくするとか、そういう可能性が出てくるでしょう。

 また、電力ではなく、ガスをパイプラインでサハリンから引いてこようという構想もあります。また、北極海航路でヤマル地方から液化天然ガス(LNG)を持ってくるという構想もあります。地球温暖化によって北極海の氷が溶けて、少なくとも夏の間はタンカーが北極海を通れるようになる可能性が開けてきた。そこを通れば、南回りで持ってくるより、はるかに近くて安上がりです。

 それだけではなくて、シベリアの水力発電で余った電力を水素に変えて、日本に持ってくるという構想もあります。有機ハイドライド法というもので、トルエンに水素原子を3つくっつけると、メチルシクロヘキサンという液体になり、普通の石油タンクに貯蔵できる。むしろ、長大な送電網を作るよりも安上がりではないかという議論はあり得ると思います。

 今回、世耕経済産業相がロシア経済分野協力担当相を兼務し、経済協力を進める姿勢を強く打ち出しています。東方経済フォーラムではロシア側も非常に熱心でした。12月のプーチン大統領の来日の際に何が起きるか予断を許しませんが、日露の経済協力はいよいよ本格的に進む可能性があるという印象を強く持ちました。

 もちろん、これらの構想がすべて実現するわけではありませんし、乗り越えなければならない課題はたくさんあります。ですが、メリット、デメリットを今からいろいろ議論すべきではないでしょうか。