プーチン大統領来日で日露エネルギー協力が進展?

田中:確かに石油もガスも値段が安くなったことは、エネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって悪いことではありません。それによってアベノミクスも助かっているわけですね。ですから、原発があまり稼働しなくても何とかなっているわけですけれども、この状況が長続きするのか疑問です。万が一の場合を考えておくべきでしょう。

 そのためのキープレーヤーになり得るのが、ロシアです。米国やカナダなどからシェールオイルやガスを輸入するもの大切ですが、在来型の資源が豊富にあるロシアとの関係強化は今後、大変可能性があるでしょう。

 現在、ガスの総輸入量のうちロシア産が占める割合は約10%、石油は約4%ですが、それを増やす余地はある。今、日本はウクライナ問題で欧米諸国と一緒にロシアへの制裁に協力していますが、すべての活動が禁止されているわけではありません。制裁のルールを守りながら、ロシアとの間で様々な関係を強化し、エネルギーを確保していくというのは十分あり得るだろうと思います。

 特に安倍政権になって、プーチン大統領と非常にいい関係を築き、北方領土の問題も解決に向けていろいろな動きがあります。12月にプーチン大統領が来日するので、エネルギー関係で何か動きがあるかもしれません。

 その1つが、ロシアが以前から言っている、電力線を日本とつないで、日本がロシアから電気を買うという話です。

「エネルギーブリッジ」という構想ですね。

田中:この構想には、いくつか話があります。1つは、サハリンで石炭やガスを燃やして作った電力を、サハリンから北海道に送電線を引いて日本に持ってこようという構想です。北海道には、風力がたくさんありますよね。その風力で発電した電力と一緒に、本州まで持ってこようというものです。

 風力発電を増やしていくと、風が吹かなかった場合のバックアップとして、石炭やガスを使った発電所が必要になります。そのバックアップの部分を、サハリンに作るというのは、面白いコンビネーションだと思います。

 そしてもう1つが、ソフトバンクの孫正義さんが、中国の国家電網公司、韓国電力公社、そしてロシアのロセッティと覚書を結んで進めている「アジア・スーパー・グリッド」構想です。もともと孫さんは、モンゴルで風力や太陽光を使って発電した電力を、中国、韓国を経由して日本を持ってこようという「ゴビテック」という構想を持っていましたが、ロシアを経由してサハリンから日本に持ってくるルートも作れば、大きなリングのようなグリッド(送電網)を作ることができる。これに、プーチン大統領も関心を示していて、「面白いので是非サポートしたい」といったことを、ウラジオストクで9月に開かれた東方経済フォーラムで発言しています。