川鍋:実家が建設業で、いつしか自分も建築をやりたいと思うようになり、早稲田の付属高校から理工学部建築学科に進んで、大学院まで行きまして。

今のように「宣伝やるぞ」という片鱗はまだ…。

川鍋:いや、建築学科では課題が毎回出て、プレゼンをするんですよ。それをやっているうちに、作品の魅力を伝えることの面白さに目覚めまして。就職を考える中で、こうキラキラした(笑)広告業界が視野に入ってきて、その流れでテレビ局を受けたら技術職で受かって。

ほう。

川鍋:もともと建築学科って広告会社に結構行くんですよ。タグボートの麻生哲朗さんも早稲田建築のOBです。

連載「人生の諸問題」でお世話になっている岡康道さんのお仲間。トップCMプランナーは建築出身。何だろう、構想力があるんですかね。
 あ、先ほど「1軒ずつじゃなく4軒同時並行で…」という例えは、そういうことか。

もっと、できることがある

川鍋:知らず知らず建築学科の名残が…(笑)。
 まあ、そんなこんなでTBSに入って、CG関連の仕事を10年ほどやりました。
 その間、宣伝部ともCG制作で一緒に仕事をする機会があり、かつての「広告会社志望」の思いが再びフツフツと湧いてきて、宣伝の仕事をがっつりやってみたい!と思うようになりました。
 TBSでは5年以上、同じ部署にいる人間は、希望先が採りたいと言ってくれれば、所属部署の許可なしで異動できるフリーエージェント制度がありまして、それを利用して5年前に宣伝部へ。

技術職とはずいぶん違いがあったのでは?

川鍋:技術職は、いわば職人の世界です。新人が入ってきたらまずこれを覚えて、次はこれ、その次はこれ、と一つずつ身につけていく。途中から入るのは難しいし、日々進歩する技術を追いかけていく必要があるので、いったん抜けると戻るのは難しい。
 自分なりに積み上げてきたものもあったので、そこを離れるにあたっては、いろいろ考えました。
 でも、ボールが飛んできたら、避けるより、とりあえず捕ってみるほうなので、宣伝やりたい!という自分の気持ちに素直に従うことにしました。

 移ってみると、まるで別の会社のようでした。先にもお話したように、部員はそれぞれ自分流で仕事をしていて、技術職のような部署として人を育てるカリキュラムがない。
 もう、ひたすら先輩部員にくっ付いて回って、やり方を覚えていく。付いた先輩によってやり方が違うから、驚くほど忙しいこともあれば、え、こんなんで大丈夫?ということもあって…。

 もちろん、マニュアル化すればいいというものではないですが、ある程度、基本的なことを部署として共有することの意義や意味も感じていたので、班制度に移行できたのはよかったです。

宣伝の仕事、これからはどのような?

川鍋:まだまだチャレンジすべきことがたくさんあると思います。テレビ業界は大変な時期を迎えていますが、従来通りじゃいけないという機運は、今までやれなかったことがやれるチャンスでもあるわけで。
 なんと言っても、たくさんの方に一気に情報を届ける仕組みとしては、テレビは圧倒的な力を持っている。その力に胡坐をかいて、もっと工夫できることがあるのに、できていなかったんじゃないか。今回の「外の眼」の導入も、そうした問題意識が根底にあったからこそです。
 技術職を経験したからこそのアドバンテージも、もっと生かしていきたいし、番組ごとだけでなく、TBSとしてのブランディングも、もっとできることがあるはず。テレビ局の宣伝部、これからです。

次の一手、楽しみにしています。

川鍋:いろいろ仕込んでいきますので、「陸王」ともどもお見逃しなく。