早い段階から関わるというのは、この班体制のこと?

川鍋:いえ、もちろんケースによりますが、番組の内容やタイトルを決める段階で、宣伝部も関わる例が出てくるようになりました。

何気なくおっしゃいましたが、テレビ局の場合、制作チームが絶対的に強いですよね。かなり思い切った変革かと。

川鍋:これについては、宣伝部が、ではなく、日曜劇場の制作チームが「外部の協力」を得ることになり、その関連で宣伝部もコミットするようになった、というのが正しいです。

その「外部」というのは?

コミュニケーション・ディレクターの眼

川鍋:電通のクリエーター、梅田悟司さんです。

「言葉にできる」は武器になる。』がベストセラーになった梅田さん。国内外でたくさん賞を獲っているトップクリエーターじゃないですか。その梅田さんに、いわゆる広告ではなく…。

川鍋:コミュニケーション・ディレクターとして関わっていただいて。

ドラマ制作、ことに本流中の本流である日曜劇場に外部の方が関わるというのは、TBS的にはかなり思い切った取り組みでは。

川鍋:TBSが積み上げてきたドラマの歴史は、自社のことながら、すごいものがあります。世の中の動きに敏感にアンテナを立てて、視聴者の皆さんがワクワクするようなドラマを作る。そのために、ドラマづくりにおける「プロの眼」を日々鍛え、それを受け継いできているわけですが、このコンテンツ乱立の時代に「別の眼」からどのように見えるのか、自分たちにさらに何が必要なのかを知り、もっと良いものを作ろうじゃないか。そうした取り組みの一環です。

頼るというより求める。そういうことができるのがまた、自力のあるチームだからでしょうね。
 で、コミュニケーション・ディレクターというのは具体的には何を?

川鍋:ああしろ、こうしろ、というのではなくて、ドラマ制作の世界では当たり前と思われていることに、ひとつずつ「一般の人から見ると…」とちょっと揺さぶりをかけるような、きっかけを与えて何かに気づかせるような、そうした役割を自覚的に担われていたように思います。その一つが「宣伝の人も呼びましょう」だったのだろうと。

呼ばれてどうでした?

川鍋:梅田さんが関わった日曜劇場「99.9‐刑事専門弁護士‐」のタイトルを決める会議から私も参加することになりまして、正直テンションが上がりました。もちろんこれまでも自分が担当する仕事について真剣に取り組んできたつもりですが、グンと自分事になったというか。もちろん私がタイトルを決めたわけじゃないのですが、ああ、こんな議論や検討の上で、こんな思いと狙いを込めて決まったものだということが、手触りとして分かる。これは、宣伝にも生きます。数値で出せと言われても困るし、感覚的なことですが、確かに生きることがある。