川鍋:番組の素材を受け取って…ではなく、もっと前から関わる、というのが大きな変化です。

はい。

川鍋:「陸王」の宣伝は「田んぼアート」でスタートしました。ドラマの舞台である行田市は田んぼアートに積極的に取り組んでいて、今年で10周年という土地柄。そこでおよそ1haの田んぼに、原作『陸王』の書影と役所さんの似顔絵を浮かび上がらせよう!と。
 2017年初頭に企画が決まり、マラソンランナー役の竹内涼真さんも田植えに参加いただいて。夏から秋にかけて、高さ50mの展望台から眺めると見事な絶景となりました。

これは番組の素材を受け取って…ではできませんね。

川鍋:そもそもは、前年の正月のニューイヤー駅伝を撮影する必要がありまして。ドラマの撮影クルーが動くわけですから、これは極秘裏に進めるより、2017年10月期は「陸王」です!とオープンにしてしまおう、ということになりました。

そういう事情だったのか。放送開始の1カ月前くらいからの告知が普通なのに、「陸王」はやけに情報解禁が早いなと気になっていたんです。

川鍋:日頃から関心を持っていただいてありがとうございます(笑)。

次の池井戸作品は何かと気になっていたので(笑)。え~話を戻して、早期宣伝のお話。

1軒ずつから4軒同時並行へ

川鍋:以前は、宣伝部員がクールごとにそれぞれ番組を担当して、そのクールが終わると、次の番組を分担して、という形で。

自転車操業的な。

川鍋:かつてはそれで問題なかったんです。テレビが娯楽の王様だった時代は、新番組が始まることをお知らせすれば、多くの皆さんにこぞって見ていただけました。でも、今は違う。多種多様なコンテンツが様々な方法で提供される中、もっと戦略的に宣伝する必要がある。

すでに長らくのネット台頭などを考えれば、何やら遅ればせながら、の印象ですが…。

川鍋:部員それぞれが得意分野を受け持って、それぞれが個人事業主のように対応していく。そうした従来の手法は、決して悪手というわけではありません。信頼関係を深め、そのネットワークを生かして多様な宣伝ができるわけですから。
 しかし限界も出てくる。その人がいなくなると困ると言って担当が固定化され、属人的なやり方を続けていると、そこでは新たな工夫などは生まれにくくなります。

 また番組の素材を受け取って、よーいドンで宣伝素材を作ってリリースをまく。その繰り返しも、時間に追われるばかりで…。

新たな工夫をする余裕は持ちにくい。

川鍋:そこで、2年前から宣伝部では「班体制」に移行しました。私は、約1年分の番組を並行して担当していく。一緒に動く部員は番組ごとに変わる形でノウハウを共有していく。

スムーズになりましたか?

川鍋:これまでは家を1軒ずつ建てていたのを、4軒同時並行で建てる方式に変わったわけで、まだ慣れない部分もあります。でも、ロングスパンで考え、仕込みの時間をしっかりとれる方がいいのはわかっている。もっと効率的に、そして効果的に工夫できる余地がいろいろあると思っています。