「やらされ感」が多い仕事は面白くない

 おっしゃることは分かります。ただ、プロセスを改善するために何度も声をかけ、それでも成果が上がらない人はどこの会社にもいると思います。いくら言ってもちっとも動こうとしない部下を見たら、小言のひとつでも言いたくなるのが人情ではないですか。

鈴木:そういう方には、「あなたは毎日、部下を見つめていますか?」と伺いたいですね。なぜ、その部下はやる気を見せないのか。それは、その部下だけの問題でしょうか。

 別の角度から言えばこうなります。どのような状況であれば、人はその人の潜在的な能力を発揮できるのでしょうか。

 仕事というものはやっぱり、「やらされ感」が多いと面白くないですよね。もちろん自分も面白くないし、周りの人も一緒に仕事をしようという雰囲気は少しずつ損なわれていく。活気があるチームを見ていると、実に楽しそうに仕事をやっている。楽しんで仕事をすると、新しい知恵もどんどん湧いてくるものです。

 活気があるチームには共通点があります。まずは、リーダーが目的をしっかりと捉えています。そしてその目的に対する自分たちの目標が、メンバーの中できちんと共有されています。自分たちがそこまで到達したいという目標がはっきりしているから、しかもそれがメンバー1人ひとりの腹に落ちているから、何とかその目標をクリアしたいという雰囲気がチーム全体を盛り上げているわけです。

 売り上げなどの営業目標をチーム全員で共有すればいいのですか。

鈴木:確かに、数値を共有するのは分かりやすいですね。棒グラフなどにしてみれば、チームの中で誰の営業成績が良いか。あるいは前年よりどれくらい伸びているかを視覚的に見ることもできます。

 でも、営業成績を見せられただけで、頑張って仕事ができるでしょうか。あるいは、チーム全体でワクワク感が起こるような状態になっているでしょうか。多くの場合、数値目標を掲げるだけで終わっているから、チームの全員が目標をうまく共有できていないのでしょう。

 だからこそ私は「自分軸」と「会社軸」、そして「社会軸」という3つの軸がきっちりと方向を揃えることが大事だと思っています。

 軸を揃えるとはどういうことですか。

 まず前者2つについて詳しくお話しします。自分軸というのは、自分がやりたいことや自分ができると考えていることです。この会社に入ったら自分はこういう仕事がしたいとか、この部署で自分はこんなことができるということ。この自分軸に合致した仕事であれば、その社員はやる気を出して自分の能力を存分に発揮してくれるはずです。

 会社軸とは、その会社や組織がやるべきことです。この会社軸と自分軸のベクトルが合っていれば、社員がやりたいことが会社の成長にストレートにつながっているので、非常によい循環となります。逆に、自分軸と会社軸が揃っていないと、社員は潜在能力を発揮するのが難しくなります。あるいは自分軸と会社軸に乖離があったままであれば、余計な軋轢を生むことにもつながります。

 この自分軸と会社軸の方向性を束ねると言う仕事は、チームのリーダーあるいは経営者の仕事です。