もっとも、当面はATMで稼ぐ方針を掲げています。

山下:はい。まずはATMから事業基盤を固めていきます。

ローソン銀行のATMはサービス開始時点で全国1万3000台。キャッシュレス決済が進むなか、この数は今後も増やしていくお考えですか。

山下:基本的には増やしていきます。まずはローソンの新規出店に伴って増えます。それから(銀行として独立したことで)ローソン店舗以外、たとえば地域の商店やショッピングモールの中にも入っていけるようになりました。

 ただ、将来的に現金以外の決済が浸透していくなかでは、日本のATM設置台数の総数はそこまで増えないでしょう。最近メガバンクや地銀が、自らATM網を維持するのは合理的ではないと考え、預金の出し入れ業務をコンビニATMに委託する動きが相次いでいます。

 私の出身企業である新生銀行も、すでに自前のATMは廃止しました。預金口座を持つお客にはセブン銀行さんのATMを使ってもらっています。メガバンクのなかにも、将来的に2割程度ATMの設置台数を削る方針を掲げているところがあります。つまり総和としてはATMの設置台数は増えませんが、そのなかでコンビニATMの比率は増えていくだろう、ということです。

 一つだけ強調しておきたいのは、世の中的にはATMは今後ほとんど消えゆく産業のように言われていますが、私はそうは思わないということです。最近も災害時に電子マネーが使えず、やはり小口の現金が決済手段として見直されたと報じられています。

ローソン店舗に設置されている現行のATM。ATM事業だけの銀行では、セブン銀行の後追い感は否めない。

提携している金融機関の数を見ると、セブン銀行の約600に対して、ローソン銀行は現時点で90程度と、大きく引き離されています。

山下:親会社のポリシーにもよりますが、私たちは街を幸せにするというコンセプトを大事にしています。その点、セブン銀行さんがあらゆる地域金融機関に対してイコールに提携を進めているのに対し、我々はこの地域をどうしたらもっと良くできるのかと考えながら臨んでいきます。

 ある地域でこちらの銀行とご一緒することもあれば、別の地域ではまた違う銀行とご一緒することもあるかもしれません。

すべての銀行と全方位に提携関係をつくるというより、それぞれの地域の部分最適みたいなものも探っていく、ということですか。

山下:それも十分考えられます。その地域にとって一番いい組み合わせというのを一緒に考えていきます。必ずしも大きいところという意味ではないです。(セブン銀行とは)やっぱりそこの違いが出てくるのではないでしょうか。

三菱UFJ系だけと提携するわけではない

提携金融機関を広げていくうえで、5%の出資を受けている三菱UFJ銀行の存在は足かせになりませんか。

山下:やっぱりそう思いますか?

そのように思ってしまいます。

山下:そうですね、そういうふうにご指摘を受けることもあります。けれども、我々は独立した銀行です。設立にあたって色々と助けていただいたのは事実。けれどご一緒できるものはご一緒する一方で、そうでない側面も出てくるはずです。我々が他のメガバンクさんとご一緒することも十分にありえます。

地銀も、歴史的に三菱UFJ銀行と関係が深い銀行、浅い銀行があります。

山下:あります。ただ最近はもう、そういうことを気にする人たちは減ってきているはずです。過去の画一的な物の考え方はなくなるのではないでしょうか。系列だけで商売ができる時代もあったのかもしれませんが。

たとえば三井住友銀行やみずほ銀行が採算の合わないATMの整理を検討しているとして、その代替需要をローソン銀行がとっていくこともありますか。

山下:全然問題ないです。というか、需要があるのなら積極的に獲得していきたいです。