ローソンが10月15日、かねて準備を進めてきた銀行業に新規参入し、消費者向け金融サービスの提供を始める。流通企業を母体とする銀行としては、2001年のセブン銀行、07年のイオン銀行に続く開業となる。

 ローソン銀行が当面の収益源に掲げるのはATM事業だ。24時間365日、提携する金融機関の口座取引ができる利便性をアピールし、提携先から手数料収入を得るビジネスモデルだ。その後はクレジットカードの発行やインターネットバンキング、キャッシュレス決済の基盤構築などにも取り組む。

 だがローソン銀行が打ち出した事業方針は、セブン銀行のほかメガバンクやフィンテックスタートアップなどがすでに取り組む施策と重なる部分が多い。「周回遅れ」との指摘も根強い新規参入に勝機はあるのか。就任後、メディアの単独インタビューに初めて応じたローソン銀行の山下雅史社長に聞いた。

山下雅史(やました・まさし)氏
1983年東京大学法学部卒、日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行。2010年執行役員総合企画部長、11年常務執行役員。16年11月ローソンバンク設立準備社長、18年7月ローソン銀行社長。千葉県柏市出身。59歳。

セブン銀行から実に17年後、「周回遅れ」の開業となります。

山下雅史社長(以下、山下): 1周どころか、2周遅れ、3周遅れかもわかりません。セブン銀行さんが作られたビジネスモデルは大変優れたものです。ATMを利用できる提携金融機関の多さなど、17年の積み重ねの差は大きい。我々はまだまだ提携先を増やさなければならない段階ですから、「周回遅れ」というご指摘は甘んじて受け入れなければなりません。

勝機はあるのでしょうか。

山下:あります。そうでなければ私もこのポスト(社長職)は受けられないと思います。たとえば、後発であるがゆえに有利になることもあるでしょう。新しい技術を(柔軟に)導入できるというのはその一つ。これから新サービスを創出していく意味では、セブン銀行さんと比べても遜色ない、イコールな立場にあると思います。

たしかにATMを介した現金受け取りサービスなど、「口座預金の引き出し・預け入れ」以外の機能は、セブン銀行も着手したばかりという印象です。

山下:はい、そういった新しい分野では同じスタートラインに立っています。

銀行とお客の関係、改善の余地あり

発足にあたって9月中旬に開いた記者会見で、山下社長は「銀行とお客の関係には、まだまだ改善の余地がある」と話していました。

山下:銀行というのは長いあいだ同じ商売の仕方を続けてきた業種です。たとえば1ドルを円に両替するという業務があったとすると、銀行は「1円の手数料を取りますよ」と建値を決め、「それだけの手数料が嫌なら、別に利用してくれなくてもいいですよ」というスタンスをとってきたわけです。

建値というのは、つまり銀行側が自分の確保したい利益の額を勘案して、銀行の立場からサービスの対価を決めてきた、と。

山下:はい。でも小売りの世界はそうじゃない。「いくらなら払ってもいい」ということを決めるのはお客のほうです。最近は異業種からもいろんな会社が金融分野に参入し、価格破壊が起きています。