追加緩和は抜かずの「宝刀」

今後の追加金融緩和の可能性はどのように見ていますか。

河野: フレキシブル・インフレーション・ターゲットへの移行によって、追加の金融緩和は当面無くなったと考えています。11月の政策決定会合での決定も当然あり得ないでしょう。足下の経済環境を見ると完全雇用にあり、日本経済の需要と供給の差を示す需給ギャップは穏やかに縮小しています。マクロ経済が悪くない中では、追加緩和に動く動機はありません。7月末の政策決定会合で日銀が上場投資信託(ETF)の年間買い入れ枠を6兆円と、従来に比べ約2倍に増やしたことで、多少円高が進んでも日本株が値下がりしにくい状況になったことも追加緩和を遠ざける要因となっています。

 円相場が1ドル90円前後まで円高に進むなど、よほどの大きなショックが訪れない限りは、日銀が追加緩和に動くことは無いと見ています。マイナス金利の深掘りやETF購入枠の拡大、国債購入枠の拡大など量・質・金利での緩和策の可能性に日銀は含みをもたせていますが、当面は「抜かずの宝刀」として温存されることになるでしょう。金融政策には手詰まり感が出てきていますが、必要とあれば追加緩和を出して市場を下支えできるという存在感を演出できたことは評価できます。