なるほど。それなら住所ができて、スタートラインには立てます。

高橋:登録してくれた人材は当社のメンターが丁寧に面談して、その適性を見極めます。中には、職歴に空白があったり転職が多かったりすると、「また失敗するのでは?」という不安を抱えた者もいるので、面接を受けて企業に採用が決まった後もボーダレスキャリアに在籍したまま、実際に企業で働いてみるという「プレ就職期間」を設けています。期間中に本人と企業の双方が適性を判断し、お互いが納得した上で正式採用となればその企業で正社員として働くという流れです。

その間のシェアハウスの家賃は?

高橋:登録者本人が負担します。プレ就職期間中も働いた分の給与はもちろん貰えるのでそこから自分で払いますし、企業に正式採用が決まった後も家賃さえ払えばそのまま住み続ける事もできます。

ならば、登録後、速やかに「プレ就職」だけでもしないといけません。

高橋:少しでもスピーディーな就職ができるように、ボーダレスキャリアの考え方に賛同し、そうした子達を前向きに受け入れてくれる企業のネットワーク化を進めています。

「こっそり良い事をしている企業」も結構ある

日本の大企業の中には、相変わらず新卒採用主義を掲げ、事実上の「年齢差別」「性差別」「国籍差別」をしている会社も少なからずあります。御社の趣旨に賛同してくれた会社は、中小企業やベンチャーが中心ですか。

高橋:いえ。大企業も手を上げてくれています。売上高1000億円近い流通業者や、全国的ネットワークを持つ教育関連企業など、「学歴や過去の経歴は一切気にしない。採用は人物重視ですよ!」と言う企業も増えてきています。

そうなんですか。「影で悪い事をしている企業」が沢山ある一方で、「こっそり良い事をしている企業」も結構あるんですね。

高橋:とはいえ、企業側から問い合わせを頂いても、吟味せず斡旋先候補に加えることはしていません。事情のある子達を責任持って受け入れ、しっかり向き合って育成してくれる――。そんな意欲やそのための仕組みがない企業は、むしろこちらの方からお断りしています。

今は人手不足ですから、「長期的に育成する気はないが、当面の人手を確保することだけを目的にこのプロジェクトに近付いてくる企業」もいる、と。

次ページ 散々辛い思いをしてきたからこそ、強い