銀行経営の悪化に対応した

長期金利の変動幅を広げたからですか。

木内:事実上の利上げというべきだと思います。16年9月の政策で短期金利をマイナスに抑え、長期金利をゼロにしたことで(国債の運用である程度の収益を稼ぐ)銀行の経営が苦しくなり、日銀による国債の大量購入で債券市場は、半ば機能不全に陥りました。

 今回の政策変更はこうした“副作用”を一部でも解消しようというわけでしょう。もちろん日銀自身は、金融緩和を継続するためと前向きな発言を繰り返していますが、そこが本心ではないと思います。

 銀行の経営が厳しくなり、超金融緩和の長期化に批判が高まるのに対応したのでしょう。しかし、今後も銀行の経営が改善しないとなると、市場はさらなる政策変更を期待し始めるでしょうね。

0.1%程度、金利が上がっても銀行経営への影響は限定的と見られています。

木内:米国は金融緩和から正常化に動いているし、ユーロ圏も資産買い入れ策を終えようとしています。欧米の金利が上がる時に日本だけが上がらなければ、やはり批判にさらされるでしょう。

 今回の決定会合の直前、市場では「日銀が長期金利上昇を容認する」との観測が広がり、金利が上昇する局面がありました。日銀は指し値オペ(日銀が指定する利回りで国債を買い入れる手法)で金利を抑えましたが、その直後の決定会合で結局は事実上の利上げです。

 「日銀も市場の動きを無視できなくなった」と市場参加者は感じたのではないでしょうか。長期金利をゼロ%に誘導しながらプラスマイナス0.1%の幅を認めていたのを、0.2%幅に変えただけですが、そうせざるを得なくなったということが大きい。

「緩和政策の持続性を高めるための変更」と日銀は言っていますが、持続性は高くないということですか。

木内:そう思います。意外に早く崩れる可能性もあると思います。早ければ年内にももう一段、金利の変動幅を広げることもありえるのではないでしょうか。事実上の再利上げです。

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