哲学書とJavascriptの両方が必要

ソフトウェアが社会の中心になるにつれて、勉強するならSTEMという風潮が強くなっている気がします。

ハートレー:1959年に、ケンブリッジ大学でC.P. Snow(チャールズ・パーシー・スノー)という人の講義がありました。彼はサイエンスを学ぶ人々のカルチャーと人文科学、社会科学を学ぶ人々のカルチャーの間の断絶をどうまとめ上げればいいかということを論じたんです。

 同じように、現代でもFuzzyとTechieの間におかしな対立がありますが、両者は対立する関係ではありません。テクノロジーを学びつつ哲学書を読むことはできます。社会学を学びつつJavascriptを勉強することも可能です。

膨大なデジタルの中で希少性を生み出したスナップ

ベンチャー投資家として数多くのスタートアップの創業者を見ると、必ずしもエンジニアばかりではないと著書で書いています。

ハートレー:実際に成功しているテクノロジー企業には異なるバックグラウンドを持っている人が大勢います。フェイスブックを成功させたもの、スラックやインスタグラム、スナップを成功に導いたものを見ると、必ずしも技術的な進歩が成功の根底にあるわけではありません。

 たとえば、フェイスブックの成功の背景には、玉石混淆のウェブの中で信憑性をつくり出したということが挙げられます。同様に、スナップも膨大なデジタル情報の中で希少性を生み出しています。今の時代、誰もが写真をグーグルドライブやドロップボックスに保存しています。その中で、スナップは一定時間の後に写真を消すというサービスを始めた。

 これはとても社会学的な洞察だと思います。テクノロジー系企業の急成長を見ると、技術面だけでなく、デザインや心理学、その他の学問から得た洞察があります。私はそういうことが言いたくて、この本を書きました。優秀なエンジニアを雇えば、魔法のように企業が成長すると考えるのは間違いです。