世界で最も持続可能性のある企業100社
世界で最も持続可能性のある企業100社
出所:カナダCorporate Knights社
[画像のクリックで拡大表示]

資本の論理を振りかざすのではなく、買収先の会社を緩やかに変えていくということですか。

松崎:そうです。シュナイダーがもともと持っている経営手法とか財務指標とか、それらをそのまま買収先に移植しようとしてもやっぱり抵抗があると思うんですね。じゃあ、会社の拠り所は何なんだということになる。もちろんシュナイダーも利益や売り上げを追求していますが、会社としてサステナビリティー(経営の持続性)ということを重視している。

 ご存じのようにサステナビリティーにもいろいろな指標がありますが、売り上げとか利益の指標ってほんの一部なんですよ。自分たちの会社はどうやって地球環境に貢献していくのか、どうやって低所得者の人たちに支援をしていくのか。そうした会社の理念として柱になっていないと、買収した会社と緩やかに統合しようとしても、うまくシナジーが出せないと思います。

つまり自分たちはいかに社会、地球環境とかに貢献するのかという、そこの軸がきちんとしているかどうか。そこの使命が共有できれば、異なる環境で育った会社も一緒になれると。

松崎:そうですね。例えば自分が働いていた会社が突然、買収されたとします。買収した親会社の方が、もっと地球環境に優しいとか、もっと環境に関する情報開示度が高いとか。そのことが嫌だと言う人は、ほぼいないと思うんですよね。なので、サステナビリティーに対する考え方を大きな拠り所として、細かな指標だとか人事制度だとか、そういうのは緩やかに統合していけばいい。それがシュナイダーのやり方です。

自社のビジネスにつながるCSR

10年くらい前からでしょうか、日本でも地球環境への負荷を減らさなきゃいけないとか、慈善活動をしなきゃいけないという気運が高まり、CSR(企業の社会的責任)を重視する企業が増えました。ただ、企業の役割というのは、製品やサービスが社会の役に立って、それが適切な利益を生み、雇用を生み出し、納税する。それ以上でもそれ以下でもないと個人的には思っています。

松崎:シュナイダーが掲げるサステナビリティーの指標として、プラネット&ソサエティー(地球と社会)というバロメーターがあります。四半期ごとに決算の補足資料として公開されています。

 例えば、今いるオフィスには去年の9月に引っ越したんですが、その際、このオフィスが出すCO2の量にも目を配って決めています。そういう規定が数値化されているんですね。会社としてどれだけCO2を削減するんだというゴールがあります。

 地球と社会のバロメーターに基づく目標はほかにもあります。例えば、新興国でどれだけ技術者を教育するかとか。その人数まで規定しているんです。これまでに何千人教育していて、将来的に何十万人にするとかですね。

次ページ 自社のビジネスにつながるCSRがある