入局後は。

小国:山形放送局に配属となり、ディレクターとして5年半。その後、東京の経済社会情報番組部に移って、『クローズアップ現代』『プロフェッショナル 仕事の流儀』『72時間』など主にドキュメンタリー系の番組を作っていました。

順風満帆。

小国:それが4年前、心臓に疾患があると診断を受けまして。入院先の先生から「爆弾を抱えた状況で無理はいけない。ディレクターは辞めた方がいいです」と宣告されました。

それはまたまた…。

改めて知った「NHKの価値」

小国:もちろんショックでしたが、現実は現実として受け入れるしかありません。それから間もなく電通へ行きまして。

電通へ??

小国:国内派遣という研修制度がありまして、9か月間、広告会社の現場に加えていただいて。

広告出稿のないNHKから電通へというのは意外というか。

小国:実は病気が分かる前から希望していたんです。

どういう経緯で?

小国:ディレクターとして番組を作りながら、番組のことをもっと多くの人に知らせたい。その仕組みを学びたいと常々考えていて。

『プロフェッショナル』アプリや1.5chの原点。

小国:当初は「俺が全力で作った番組を、もっともっと見てもらいたいんだ!それには一体どうしたらいいんだ!!」といった我勝ちな思いが強かったんですが(笑)、ディレクターを諦めることになって、もう少し冷静に、コンテンツを多くの人に届ける仕組みを基本から学ぼうという気持ちが強くなりました。9カ月という短い時間ですから範囲も限られましたが、大いに勉強になりましたし、たくさん刺激をいただきました。
 電通に行って一番良かったのは、PRの手法を学ぶということ以上に、初めて外から客観的にNHKを見たことでした。

どう感じましたか。

小国:「あぁ、こんなに価値があるんだ」ってことに初めて気づいたんです。テレビはオワコン、オワコンと思っていたけど、全然そんなことないぞ、やれることめちゃくちゃあるんじゃないか、もったいないことだらけだ…そんなことに改めて気づけたのが一番大きかったです。そんなところから「NHKの価値をしゃぶり尽くして、社会に貢献する」という個人的なミッションが生まれて、それがアプリや1.5chにつながっていると思います。

そうして新しいサービスに挑み続けている。

小国:…と締めると、ストーリー的にはカッコいいエンディングになりそうですが、まあ、失敗も数知れずで。

言える範囲で実例を。

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