セゾングループ創業者の堤清二氏が2013年末に他界してから約2年半。西武百貨店から良品計画、パルコまで多数の有力企業で構成されたグループはすでに解体されているが、かつて一世を風靡した「セゾン文化」を継承する施設がいくつか残されている。堤清二氏が収集した現代美術を展示するセゾン現代美術館(長野県軽井沢町)はそのひとつ。同美術館の代表理事を引き継いだのが堤清二氏の次男である、たか雄氏だ。同美術館の新規事業として昨年末には、身近な場所で情報発信できる拠点として、東京・神宮前に「セゾンアートギャラリー」を開いた。父の遺志を継いでセゾン文化の継承・発展に力を注ぎ始めた堤たか雄氏に、在りし日の父との関わりや、これからの美術活動にかける思いを聞いた。

(聞き手は鈴木哲也)

<b>堤たか雄(つつみ・たかお)</b><br /> 一般財団法人・セゾン現代美術館代表理事。45歳。1970年、堤清二氏の次男として生まれる。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、仏グルノーブル第三大学に留学。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。2013年12月から現職。1998年から2000年まで西武百貨店の非常勤取締役を務めた。日欧文化交流協会副代表理事・事務局長。
堤たか雄(つつみ・たかお)
一般財団法人・セゾン現代美術館代表理事。45歳。1970年、堤清二氏の次男として生まれる。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、仏グルノーブル第三大学に留学。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。2013年12月から現職。1998年から2000年まで西武百貨店の非常勤取締役を務めた。日欧文化交流協会副代表理事・事務局長。

2013年に堤清二さんが他界した後、セゾン現代美術館の代表理事の仕事を、たか雄さんが引き継ぎました。そもそもセゾン現代美術館はどんな成り立ちですか。

:現在、軽井沢にあるセゾン現代美術館は、私の祖父、堤康次郎が集めた古美術、骨董品を保管して展示する目的で、1962年に東京都内に開業した「高輪美術館」が発祥です。その後、1981年に軽井沢に移り、フランスの代表的な美術家「マルセル・デュシャン」展を皮切りに、現代美術館として認知されました。

 一方で、1975年に東京・池袋の西武百貨店内に開業したのが西武美術館です。父の堤清二は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に行って感動して、日本人にも現代美術の面白さを知ってもらいたいという理念で、作品を集め始めました。西武美術館では、そうした現代美術作品にととまらず、まだインターネットもなかった時代ですので、どんどん海外の新しいものを紹介しようということで、デザインやファッションを含めて、本当に何でも幅広くやっていたのです。

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