来年、創業100周年を迎えるということも背景にあるかと思います。以前から、社内では社名とブランド名を統一した方がいいという声があったのでしょうか。

吉永:ないですね。

ないんですか。

吉永:あまりなかったんじゃないですかね。ただ、私の中にはあったんですよ。2014年に発表した中期経営ビジョン「際立とう2020」で宣言した2つの大きな取り組みのうち、1つが「スバルブランドを磨く」でした。

 その時から、「スバルブランドを磨く」と言うならば、当然どこかでチャンスがあって環境が整えば、社名も変えた方がいいなというのは、思っていたんですね。中期経営ビジョンを発表したのが2014年5月で、その3カ月前ぐらいからでしょうか。

それを実行しようと動かれたのはいつだったのでしょうか。

吉永:表立って私が言い出したのは、今年3月です。ですから、言いだしてから決めるまでははすぐでした。あっという間です。

それで5月には発表と。

吉永:これは、みんなで議論するような話でもないですからね。多数決で決める話でもない。

 スバルというブランドをいかに高めていくかということに、当社の生き残りがかかっているわけです。我々は差別化戦略と付加価値戦略を取っています。決して、量で生きていける会社ではない。社名変更も突き詰めれば、スバルを際立つブランドにするための方法の1つで、「際立とう2020」につながっているわけです。

 「スバルブランドを磨こう」と言っているからには、社員が名刺を出す行為まで含めて、そのための活動に集中しなければいけないというのが、私の思考回路なんですね。自分としては考えに考え尽くして、あとは時が来るかどうかを待っていたんです。