小菅:原因は、飼い切れなくなった飼い主に野外に放されたことです。池や川に放されたミドリガメは水草や水辺の植物を食べます。そうすると日本の水辺の環境自体、壊れますし、そこに暮らす水生昆虫への影響も大きい。アシとかガマといった抽水植物も好みで、トンボやヤゴなどの生態系にもダメージを与えています。

ペット店や縁日で買ってきたミドリガメを多くの人が、育て切れずにリリースしてしまうのは何故ですか。

小菅:一つは、想像以上に大きくなってしまうことだと思います。1年程度では5cmくらいでしょうが3~4年で10cmを突破し、最大でオスは20cm近くまで成長し、メスでは30cm近くまで大きくなります。写真を見てください。上に載っているのが小さい頃のミドリガメで、下が大人です。

でかっ。ここまで大きいと飼育するための設備も大変そうです。

上が子供。下が大人。「親亀の背中に小亀を乗せて」とは随分印象が違う
上が子供。下が大人。「親亀の背中に小亀を乗せて」とは随分印象が違う

小菅:日本のミドリガメはことさら大きくなる傾向があります。先ほどミドリガメは米国から卵の状態で輸入するといいましたが、卵を孵化させるには温めることが必要です。その際、カメは性染色体がないため、孵化するまでの期間中の温度でオスかメスかが決まります。アカミミガメでは低いとオス、高いとメスです。

日本のミドリガメのオスは“ハーレム状態”!?

初めて知りました。

小菅:そしてここからが大事なんですが、その際、業者は確実に孵化するように保管温度を高めに設定するんです。すると、どうなります。

そりゃあメスばかり生まれる。メスはオスより大きいから日本の大人のミドリガメは総じてでかくなる、と。

小菅:大きくなるとそれだけで飼いにくい上、見ての通り、トレードマークの緑色の甲羅も消えてしまい、黒光りした地味な色になります。カメ好きはそれもまた魅力を感じますが、一般的には可愛いと言えない姿です。また、カメは日光浴させることが不可欠です。日光浴しないと、体温調節できなくなるし、甲羅が変形してしまいます。日光浴は寄生虫などを殺菌する効果もあります。日光浴をさせられないのなら、専門のライトなどを飼育設備に備え付けることが欠かせません。

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