究極の神アプリに化けるか

 いかがだろうか。冒頭に紹介したマタハリーでは、来場客に好評であることから既に4店舗で「Toilet IoT」を導入した。導入費用は規模によるが、20万円〜という。顧客サービスの一環と考えれば、検討に値する投資だろう。

 インテリジェンス ビジネスソリューションズ以外にも伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が「IoTトイレ」というサービスを昨秋から始めている。また、テナント企業向けにトイレの使用状況をお知らせするサービスを計画しているオフィスビルも既に複数ある。いずれも、トイレという公共のモノをより効率的に活用しようという試みだ。

 言うまでもないが、トイレというのは性別や年齢を問わず、誰でも1日に何度でも使うものだ。インタビュー中に触れた通り、近くにあるトイレの混雑状況がスマホでリアルタイムに分かったら万人にとってメリットがある。突然の便意に襲われてやっとたどり着いたトイレが埋まっていたときの絶望感……こうしたトイレ難民の“悲劇”が少しでも減るのであれば、それは間違いなく、世の中を良くすることにつながるはずだ。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際、IoT化されたトイレを訪日観光客に披露できたら日本の国際的なプレゼンスも確実に上がるだろう。なにしろ日本は「ウォシュレット」をはじめ温水洗浄便座では世界で高いシェアを誇っている。その日本がトイレの新しい進化の方向を指し示す絶好のチャンスとなる。

 トイレをIoT化するニーズは確実にあるが、課題は「標準化」にあると言えるだろう。ビデオテープやDVDの例を挙げるまでもなく、企業は自社が研究開発した技術規格を業界標準にしようとして、複数の規格が乱立してしまうことがしばしば起きる。そんな事態に陥れば、消費者にとって使いづらいサービスとなり、ニーズがあってもトイレIoTは普及しない恐れもある。

 あるいは、米グーグルなどのプラットフォーマーは、とっくに同種のサービスを準備しているかもしれない。そうなれば便利な世の中になりそうな気もするが、自分の排便記録が米国のサーバーに刻々と記録されていく未来が来てほしいとは思わない。トイレを出たらスマホにメールが届く。「お疲れさまでした!あなたの近くでトイレットペーパーのタイムセールがやっていますよ!」……。