JR川崎駅の東口からほど近いパチンコ店「PIA川崎銀柳」。今年3月から、入り口近くに大きな液晶モニターが設置されている。本日の出玉状況でも表示されていると思いきや、さにあらず。地下にあるトイレの空き状況が示されているのだ。

運営会社マタハリーの山本裕康・執行役員(営業サポート部部長)はシステムを導入した理由をこう語る。「階段を降りてトイレに入ろうとしたら満室だった、という声をお客様から頂戴していました。特に年輩の方から『階段の降りる前にトイレが空いているかを分かるようにしてほしい』という要望をいただいており、この度実現することができました」。
当初は、新幹線の車両に設置されている「トイレ表示灯」のような仕組みを考えていたが、「設備投資がけっこう重たいことが分かった」(山本氏)。そこで出会ったのが、インテリジェンス ビジネスソリューションズ(7月1日より「パーソルプロセス&テクノロジー」に社名変更)が開発した「Toilet IoT」だ。
「トイレ」と「IoT(モノのインターネット)」という組み合わせに“突飛”な印象を持つかもしれない。だが、話をよくよく聞いてみると、実によく考えられた仕組みであると分かる。仮にこのサービスが社会に広がれば、世界がちょっとだけ良くなるのではないか。頻繁にトイレ難民になる身としては、大げさではなく、そう期待してしまうほどのポテンシャルを持っている。
「Toilet IoT」の開発を主導した同社の小浦文勝氏(システムソリューション事業部 ゼネラルマネジャー)に経緯を尋ねた。
9時から17時までトイレはほぼ満室状態
トイレをIoT化するって、そもそもどんな仕組みなんですか。
小浦文勝氏:トイレをIoT化すると言っても、便器そのものをネットに繋ぐわけではありません。トイレのドアにセンサーを設置して、閉まっているかどうかを検知して、その情報を無線でサーバーに飛ばします。すると各個室の混雑状況が分かるので、それをPCやスマートフォンの画面に表示します。

トイレの混み具合がスマホで見えれば便利なのは分かります。ただ、男性の場合、並ぶことは少ないんじゃないですか。「小」ならパパッと出るし、すぐに空くんじゃないですか。
小浦:一般的にはそうですね。ただ、この画面を見てください。弊社が入居しているフロアで、実際にトイレIoTを稼働させています。ちなみに、センサーを設置しているのでは男子トイレだけです。画面には、男子トイレの個室の空き状況がリアルタイムで表示されています。今、始業したばかりの9時半ですが、8つある個室のうち空いているのは1つのみと分かります。
画面の見方は、青が「もうすぐ空くかも」、黄色が「少し待つかも」、赤が「だいぶ待つかも」でいずれも埋まっている状況を表しているんですね。そうすると、「空き」と表示されているのは、北側の左端の個室だけと分かります。
小浦:一般的に、始業時間の後と昼食の後はトイレが混みます。ただ、弊社の場合、平日の朝9時から夕方5時ぐらいまでの間、ほぼ100%の稼働が続きます。常に混んでいるということです。
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