:例えばこれまで、中国の小売商で雑貨を扱っていて、その商品がほぼ日本の商品だけですというところがあるわけです。自分たちの収益のために、日本から商品を仕入れて、売っていこうという形です。ただ、これだと日本のメーカーはこれからの戦略を考えにくい。

 我々の場合は、日本メーカーの方々が進出しやすいようなコンセプトを作って、そこは自分たちのリスクで作って、そしてそのコンセプトの元でコンセプトに合った商品を仕入れて販売させてもらう。我々は今後、中国の各地にいろいろな施設を作りたいと思っていますので、様々なトライアルを日本のブランドさんと一緒にやっていきたい。単に売るだけでなく、一緒に成長するために、展開したいと考えています。

 こういったコンセプトで取り組んでいる会社は、少なくとも中国にはないでしょう。日本のアパレルメーカーには、リスクを多く背負うことのない当社のやり方で、中国市場で発展できるかどうかを、判断いただき、次の展開を考えていただければと思います。もちろんそこで、我々が展開する次の施設に乗っかっていただくことも、非常に歓迎します。

最初の案件を、湖北省の武漢で実現しました。

新宿伊勢丹並みの集客

:我々の親会社にはいろいろな情報が入ります。武漢で一番の売り上げを誇る百貨店である武漢武商広場に延べ床面積で500平方メートルの空きスペースができるという情報が入りました。我々の第1号案件としてトライアルするのに規模も適切だと判断し、進出を決めました。

 武漢は日本の方からすると、名前は聞いたことがあるけど、ぐらいの感じかなと思いますが、非常に栄えた町です。揚子江の中流域にあり、自動車関連では日産自動車やホンダが提携を結んでいる東風汽車の本社があるところなので、自動車産業やあるいは鉄鋼産業が有名です。日本企業でいえば、イオンが3店舗目をオープンさせようとしています。

 日本の百貨店もそうだと思うのですが、百貨店の中の売り場を500平方メートル空けてくれというのは、結構大変なことなんです。だいたい1つのショップの売り場面積は50~80平方メートルですので。しかも、武漢武商広場の坪効率、つまり1坪当たりの売り上げ単価は中国1位です。集客力は日本の伊勢丹新宿本店並みぐらいでしょうか。

 実際の契約面積が500平方メートルなので、ストック置き場とか廊下とかを除いてしまうと、実際の売り場面積は、330平方メートルちょっとぐらいになります。とはいえ、そのような売り場を最初に手掛けるために、いろいろな苦労を伴いました。売り場のコンセプト作りからどんな商品がいいのかを決め、それから日本メーカーと交渉して買い付けをするなど。

 苦労のかいがあって、ほぼ思い通りの空間ができたと思います。実は、今回のコンセプトベースは、新宿のルミネなんです。中でも昨年3月にオープンしたルミネの新商業施設「ニュウマン」(NEWoMan)に入居している店舗イメージを参考にして開発しました。そして東京のファッションを代表すると思われるブランドを選択しています。

そもそも、そういった日本の文化をファッションとして提案して、中国の方に受け入れられるのでしょうか。

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