日本でも同じような状況になっているように感じます。

<b>李遠光氏</b><br />1998年早稲田大学理工学部・理工大学院修了後、5年間大手シンクタンクに就職した後、商業コンサルタントとして東京・北京を拠点として活動する。2016年3月賽特商業グループの日本事業の立ち上げに参加し、10月にサイトク・トレーディングを設立し、社長に就任する。
李遠光氏
1998年早稲田大学理工学部・理工大学院修了後、5年間大手シンクタンクに就職した後、商業コンサルタントとして東京・北京を拠点として活動する。2016年3月賽特商業グループの日本事業の立ち上げに参加し、10月にサイトク・トレーディングを設立し、社長に就任する。

:いえいえ、日本はそれぞれのブランドさんの力が強いので、施設によって何となく差別化を図っていきますが、中国ではなかなかそうはいきません。本当に同じになってしまう。

 我々のやろうとしていることは、そういった同質化されがちな施設とは差別化させるために、まずしっかりとした施設としてのコンセプトを作り上げることです。コンセプトを作り上げたうえで、世界中からいい商品、中国の市場に合った商品を消費者に提案していく。今回は日本から始めますが、ヨーロッパや韓国の商品にも広げていきたい。

 一応商社なので、商品を買い取って中国に送り込んでいますが、将来的には日本の企業と一緒になって中国でいろいろな店舗展開をする、それができたらいいなと思っています。

日本の企業にはどんなメリットがあるのでしょう。

中国市場をリスク少なく試してみる

:先ほどお話ししたように、中国にはいろいろな物件があります。とは言っても、例えばある大都市で一番の売り上げがある百貨店の空きスペースがありますから進出しませんかと日本のメーカーに薦めても、中国に土台がなければ、なかなか決心がつかない。中国に法人をつくるのか、あるいは中国で販売代理店をつくるのかとか、こんなことを考えていたらコストもかかるし時間もかかる。もちろん、リスクも伴います。

 私達の親会社は、繰り返しますがディベロッパーです。だから、器がある。そして、我々はその器にコンセプトを持たせる。そしてその器に販売員も用意する。だから、日本メーカーには、器と人はこちらで用意するから、中国市場を試してみませんか、といった形で提案できるのです。いきなりどーんと中国に進出するのに比べると、はるかにリスクを少なくできるわけです。

 日本メーカーと、サイトク・トレーディングの間は、日本国内の取り引きとなります。だから日本円での決済も可能です。日本から中国への物流が当然発生しますが、中国の専門業者と提携を始めたので、この領域においての心配もありません。

器を用意するといっても、その器が単なる売場ではなくて、統一されたコンセプトに基づいた売場であることが魅力の1つですね。今までこういったビジネスを手掛ける企業はなかったのですか。

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