狩山:横尾君もプロ意識が高い。横尾君のパートでは、1分ぐらいの長いセリフをずっとしゃべるシーンがあるのですが、現場としては納得がいく映像を撮るまで、7~8回撮ったりするんですよ。本人は大変に体力と精神力を消耗するんだけど、それを表に出さない。いいカットが取れて現場が盛り上がると横尾君もすごくうれしそうに笑う(笑)。

鈴木:普段のクールなイメージから考えると意外ですね。一方で、「疲れた。田舎でのんびり暮らしたいと思った人」の二階堂高嗣さんは、アイドルなのに何であんなに一般社会人の悲哀、ストレスを上手に表現できるのかと思いました。

狩山:二階堂君はもともと器用な人で、すごく細かいことを考えて、自分の理屈で演技をするタイプなんですね。で、ぐっと気合を入れて演技をしていくんだけど、時にはふっと息を抜く瞬間もあって、それはそれでリアルに疲れた感じが出て、さらにいい感じにでるわけです。

そもそもなぜ「クリーニング」が抜擢されたのか

鈴木:なるほど。そして「日本一顧客思いのクリーニング店を経営する人」の宮田俊哉さんですよ。これまた一段と地味なテーマをよく器用に演じているなと。そもそも原案には23の末路が収録されているわけですが、なぜドラマの素材として派手と言えない「クリーニング」が選ばれたんですか。

狩山:いやいや、なぜこの本を書く上で、「日本一顧客思いのクリーニング屋さん」を取材して収録したなと。どうしてなのか、むしろこちらが聞きたいです(笑)。

鈴木:本当に偶然で、何となく取材したら思いの外、感動したので載せたというのが正直なところなんですが。

狩山:こちらとしては、今回4つほど末路を選ばせてもらった中で、クリーニング編だけがどういう結末になるか想像がつかない、という点が逆にいいだろうと判断しました。

 実際、1話のオンエアが終わった後に会社へ行ったんですけど、会う人に何よりクリーニング屋の末路が気になると言われました。ほかの3つは何となくとりあえずダメになるんだろうなと想像がつく。でもクリーニングだけは、ドラマづくりを知っている人でも結末が分からないと言ってくれている。この意味でも、クリーニングを4本目に入ってよかったなと思ってます。

鈴木:それにしても、ほかの3人はそれなりにドラマチックな役なのに、宮田さんに「クリーニング」だよと伝えた時、どんな感じでした。

狩山:最初は確か事故物件をやりたがっていたんじゃないかと思うんです。でもクリーニングと言ったら、「ああ、何か分かります」と言って、すぐ受け入れてくれました(笑)。

鈴木:それもまた、宮田さんらしい感じのリアクションですね。(後編に続く)