よく知らない親戚の整理を引き受けるのは、おやめなさい

これからは少子化により“跡取り”がいなくなって、遠縁の親戚が片づけざるを得ない場合も出てくるのではと思いますが。

内藤:こんなことを言ったら人として薄情と思われるかもしれませんが、親戚でもあまりよく知らない方の遺品整理を、親切心で軽々しく引き受けることはおやめになった方がいいと思います。残されたモノの中から、どんなモノが出てくるか分からないからです。

 私が片づけを手伝った一例では、使用済みの注射針が大量に出てきたことがありました。ベッドの下の雑誌や新聞を片づけているときに、指先がチクっとしたのです。誤って針を自分の指先に刺してしまいました。いわゆる「針刺し事故」です。後から分かったのですが、糖尿病の治療のためにインシュリンの自宅投与をされていたのです。

 幸い、私がその事故で肝炎などの感染症になることはありませんでしたが…潜伏期間もありますので、私はその後2年間にわたり定期的な血液検査が欠かせませんでした。2年経つまではとても不安でした。もちろん、借金の書類などが出てくることもよくあります。だから、たとえ親戚であってもあまりよく知らない人の場合、何の情報も持たずに整理をするのは危険だと心得るべきでしょうね。

遺品整理業者の選定のコツ

とはいえ、少子化社会となって、近未来には、父母はもちろん、おじさんやおばさんといった、近い親類の遺品を整理しなければならないケースが増加するのは間違いないと思います。その場合はやはりプロの方に頼るしかないでしょう。業者選定にあたってのコツはありますか。

内藤:親族による遺品の整理や処分が滞ってしまったとき、もしくは整理や処分に挫折してしまい、どうしていいかわからなくなったとき、専門業者に手伝いを依頼するのは妥当な判断だと思います。

 親子の同居が減り高齢者の一人暮らしが増えたことや、少子高齢化が進んだこともあり、実家や遺品の片づけのあり方も大きく変わりました。とりわけ、空き家を丸ごと空にしなければならない場合などは、遺族や親戚だけでは難しいケースもあるでしょう。最終的に遺品整理業者に頼るのは今後、珍しいことではなくなると思います。

 ただし、この業界は役所への届け出も必要なくトラック一台あれば誰にでも参入できる世界。それだけ玉石混交ですし、トラブルもあるのが現実。業者選定にあたっては注意が必要です。

 誰にでも参入できるといっても、やり直しの利かない仕事であるだけに遺品整理の担当者には繊細さが不可欠ですし、経験がものをいう仕事でもあります。遺品は個人情報の塊、貴重品に触ることにもなりますから、厳しい覚悟や心構えが業者には求められます。このため、まず営業年数の長い、豊富な実績のある業者を選ぶというのは一つの判断基準になるでしょう。業者の経験値を知るには、これまでに経験したトラブルの内容を、試しに聞いてみるのがよいと思います。

「追加料金」が発生する条件の確認もしておきたい

内藤:近頃は通信教育を受けただけで、実務経験がほとんどないままこの世界に入ってくる人もいます。このため、まず現場経験のレベルを判断するために、見積もりに来た担当者に金額の根拠をできるだけ細かく聞いてみることをお勧めします。先ほど今までのトラブル事例を聞いてみるとよいと言ったのも、すらすらと答えられる担当者は現場経験があると判断できるからです。

 料金や仕事の質の面について言えば、現場の状態やモノの量を見ずに、極めて短い電話のやりとりだけで、簡単に見積もり金額を出してくるような業者には注意すべきです。そうした業者は当日の作業を見積時間に合わせて行うため、作業が荒くなる懸念があります。安い見積もりを出して、後から法外な追加費用を請求する業者も少なくないので、どういう場合に追加料金が発生するかの確認もしておきたいことです。

 下見に来た担当者には、遺品に対しての思いを伝えてみましょう。遺族の思いを受け止めてくれる業者であれば、丁寧に話を聞いてくれるはずですが、逆に、話をろくに聞いていない様子だったり軽い返事だったりするようであれば、避けた方が無難でしょう。

仏壇の前に積み上げられた、思い出のアルバム。