バブル時代で日本経済の潜在成長力がまだ高かった89年は、消費税の影響をすぐに乗り越えて成長していった。一方、97年はアジア経済危機や、山一証券の自主廃業や北海道拓殖銀行の破綻など日本の金融危機が続いて景気を押し下げていきました。そんな影響のない2014年は、しばらくすると平時に戻ったというわけです。

増税の影響ではなく、日本経済の実力低下

2014年春の消費税引き上げは、その後の景気に深刻な影響を及ぼしたというわけではないということですか。

小黒: その通りです。増税が影響を及ぼしたというより、日本経済自体の実力値が下がってきているのです。そこを忘れてはいけません。

 日本経済の潜在成長率は、1980年代には4.4%ありましたが、90年代は1.6%。足元は0.4%に下がっています。やはり、人口減、少子化で労働投入量に制約が出てきている影響が大きいのです。そこで考えなければいけないのは、「今は不況なのか」ということです。

 マクロでは確かに成長率は下がっています。しかし、生産年齢人口は既に97年から減少が始まっています。しかし、1人当たりでみると2000年代に入って以後、日米の差はほとんどありませんでした。生産年齢人口だけで見ると、むしろ日本の方が高かったくらいです。ただ、これも最近は伸び悩んできました。中国にもかなり接近されています。

 私は、今必要なのはこういう構造問題をどう改善していくかを考えることだと思うのです。

消費税引き上げの影響は一時に留まるのでしょうか。

永濱: それはないと思います。2014年の消費税引き上げで、約8兆円国民負担が増えました。これは一時で消えるものではなくて、残っていきます。今引き上げれば、さらに消費に重石となるのは確実だと思いますね。

短期的な景気を重視するのか、中長期で改革を考えるかという違いも大きいですね。

小黒: 長期の景気循環を見ると、2012年12月、安倍晋三政権の誕生時ですが、この時が景気の「谷」で以後、拡大期に入っています。戦後の景気循環の平均は36カ月なので、2015年12月頃に景気は「山」を迎えた可能性があります。景気循環から考えても、景気の“停滞”はあり得ます。

 しかし、繰り返しですが、重要なのは日本経済の実力値をどう上げていくのかを考えることではないでしょうか。アベノミクス第3の矢の成長戦略に本気で取り組むべき時です。