朝生:一方で、周囲から「なぜ子供を作らないの?」とあまりに言われるので、積極的に子供のいない人生を選んだにもかかわらず、「不妊治療したけどダメだった」ということにしている女性もいると聞きます。「私はかわいそうな人間です」という振りをすれば周囲の“追及”も和らぐとのこと。

今の雰囲気の中、「主体的に子供を作らなかった理由」などを語ろうものなら、そうでない人と議論になったり、説教されたりしそうですもんね。

朝生:子供を持つことへの意識は、女性の社会進出の進捗にも影響を受けています。男女雇用機会均等法(1986年施行)以前の世代は、出産後は退職して子育てに専念するのが一般的。育児休職が企業に定着し始めてから働き始めた若い世代では「仕事と子育ての両立は当たり前」になりつつあります。

 両者の中間に位置する均等法世代やその少し下の世代は、日本で初めて企業で活躍する女性像が喧伝された一方で、まだ育休が普及していなかったこともあり、仕事と子育ての選択に悩む人も多かったようです。その結果、「子供のない人生」を選択した人もいるわけですが、他の世代と比べ、過渡期特有の肩身の狭さを感じることも多かったかもしれません。

育休社員の職場での赤ちゃんお披露目に落ち込む

義理の母親からは孫の出産を切望され、後輩からは「なぜ子供を作らないの?」と不思議そうな眼で見られる、といったイメージですか。子供がいない女性の中には、育休中の女性社員が職場に赤ちゃんを連れてくる度に、肩身が狭い思いをしているという人もいると聞きますが。

朝生:その辺りはお互い様だし、個人の受け止め方次第なのでは。子供がいない人が、子供がいる女性に、知らず知らずの内にプレッシャーを与えたり、傷つけたりすることもあると思います。私は不妊治療中に、子育てのために仕事を辞めた人から「あなたは恵まれているわね、好きなことができて」と言われ、ちょっとむっとしました。

 一方で、会社員時代、子供を保育園に迎えにいかねばならない社員に、夕方のミーティングを持ちかけてしまったこともありました。その時、うっかり「ああ、Aさんがいるから夕方はダメだったわね」と言ってしまった。他意はなかったにしろ、言われた相手は「自分が迷惑をかけている」という気持ちになったかもしれません。

確かに。