適性の問題はありますよね。

水野:多少はありますが、どんな子でもプログラミングを楽しむことはできます。それに、プログラミングを経験した子供たち全員が、プロのプログラマーにならなくてもいいのです。教養としてたしなんだうえで、別の世界で生きていけばいい。プログラミングの知識を持って、ほかの分野のスペシャリストとなるからこそ「相乗効果」が出るのだと思います。

プログラミングが、知的能力の研鑽に役立つという見方もあります。

水野:アプリの制作を例にとれば、デザインをする過程で、クリエイティブな表現力が養われます。ものごとの本質、構造や仕組みについてじっくり考えるようになります。論理的思考力も自分のつくりたいものをこしらえる過程で自然についていきますし、チームで共同制作する場合はコラボレーションによる問題解決力も身につきます。

ライフイズテックで学んだ中学生(開発当時)が作成したiPhoneアプリ「見えるプレゼンタイマー」。10万ダウンロードを超えているという
ライフイズテックで学んだ中学生(開発当時)が作成したiPhoneアプリ「見えるプレゼンタイマー」。10万ダウンロードを超えているという

 これからは国語・算数・理科・社会といった科目と同列に、「プログラミング」という教科が並ぶようになるのでは。もっとも、今まで学校では唯一の正解に至る過程を教える教育をしてきましたが、プログラムやアプリを作る場合、正解はありません。プログラミングが公教育に本格的に取り入れられれば、教育の内容や質がおのずと変わっていくでしょうね。

“イチロー級”プログラマーの出現を待望する

プログラマー的思考ができる人材が必要なのですね。

水野:ITエンジニアの質を高めること、プログラミングができる人のすそ野を広げていくことは日本にとって重要な課題です。スポーツで言う“競技人口”の拡大。例えば、米メジャーリーグの中でもトップクラスのスターのイチロー選手のようなアスリートが生まれるには、競技人口の「厚み」が欠かせません。今、高校球児が20万人弱いるといわれていますが、その中から一定の確率でプロに行く選手が生まれ、さらにその中からイチローのような傑出した選手が出現する。

 プログラマーの世界でも“イチロー級”の出現が不可欠です。そのためには、プログラミングができる子たちの層の厚みが必要なのです。その中から、“イチロー級”プログラマーが出てきて世の中を「あっ」と言わす。するとプログラミングに取り組む子供が増える。さらに次世代の“イチロー”がその中から生まれてくる。そういう好循環が起こってほしいのです。そうなれば、日本からフェイスブックやグーグルのような企業が生まれてくることも夢ではありません。

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