最近、子供のプログラミング教育が話題になることが増えた。海外では公教育に本格的に導入されている国も増えており、誰もが身につけるべき基本スキルだという認識が日本でも広まりつつある。プログラミングを通じて、論理的思考力や問題解決力など、いわゆる「21世紀型」のスキルも養うことができるそうだ。学ぶ利点について、プログラミングスクール「Life is Tech!(ライフイズテック)」を運営する水野雄介さんに聞いた。
オバマ米大統領もプログラミングを推奨
プログラム教育の重要性が話題になることが増えています。

Life is Tech!(ライフイズテック) CEO
1982年、北海道生まれ。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒、同大学院修了。大学院在学中に、開成高等学校の物理非常勤講師を2年間務める。その後、ワイキューブを経て、2010年、ライフイズテックを設立。2014年、同社はコンピューターサイエンスやICT教育の普及に貢献している組織に与えられる"Google RISE Awards"を東アジアで初めて授賞した
水野:プログラミングを学ぶ子供が増えている背景として、教育効果の側面と経済的な側面の2つがあると思います。まず私の専門である教育の面で言うと、自分で課題を見つけ解決していくという「21世紀型」のスキルを育むのに、プログラミング教育は相性がいいということがあります。単に与えられた問題を解いたり知識を覚えたりするのでなく、情報を自ら集め、考えをめぐらし、ときには他者と協力し合って、プログラムやアプリという結果を創造する。プログラミングは英語と並んで重要な基礎スキルになると考える人が増えました。
一方、経済の面で言うと、ITエンジニアやプログラマーが不足していることが背景にあるでしょう。次代のIT革命に備えて、世界の先進国の多くが公教育にプログラミングを取り入れ始めています。米国ではオバマ大統領が2013年に、国民に向けてプログラミングの重要性を訴えるメッセージを送りました(注1)。日本でも「人工知能(AI)やITを強化分野に位置づけ、2020年から小中学校でプログラミング教育を必修とする」という方針が新成長戦略の素案に盛り込まれました。
プログラミングを学びその延長線上で成功した起業家たちが、プログラミングの重要性を語っていることも大きな影響を与えています。こうした背景が複合し、今、プログラミングが関心を集めているのだと思います。
オバマ大統領は、「新しいゲームを買うだけではなく、つくってみよう! 最新のアプリをダウンロードだけではなく、創造してみよう! スマホで遊ぶだけではなく、プログラミングしてみよう!」などといった趣旨のメッセージを「YouTube」で公開した。
https://www.youtube.com/watch?v=6XvmhE1J9PY」
プログラマーになる必要はない
小学生でも、プログラミングは十分理解できるものですか。
水野:高学年なら大丈夫だと思います。確かに低学年では「if文」「分岐」「ループ」といったプログラミング独自の基本概念が理解しにくいでしょう。アルゴリズムを処理するのに数学的な思考力も必要ですし、プログラミングは基本的に英語で記述するという問題も若干あります。
しかし、小学生でも米マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した子ども向けプログラミング言語「スクラッチ」などを使ってゲームをつくることができます。スクラッチでは、パソコンのキーボード入力ができない子供でも「ブロック」をつなげて簡単にプログラミングを経験できます。
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