経済的成長と環境負荷の増加を“デカップリング”

コミットメントを発表してから、具体的にどの程度の成果が出ているのでしょうか。

パルト:まず、2015年に発売した新製品や改良製品の74%で、環境的・社会的な負荷を軽減しました。2005年と比較して、製品を生産する際に排出するCO2の排出量は昨年までに56%削減しています。水の使用量については45%削減しました。

 さらに、ゴミの排出量は31%減り、工場から出るゴミの92%をリサイクルしています。また、6万人以上の貧困層・低所得者に職業トレーニングなどをほどこすことで、就職の支援もしました。

 2005年以降、生産量が22%伸びている一方で、これだけ環境負荷を削減できていることは、非常に大きな成果だと考えています。経済的な成長と環境負荷の増加をデカップリングできたわけですから。

頭では理解しても消費行動には繋がりにくい

一般的に、企業が製品や事業で環境負荷を削減したり、CSR活動を強化したりしても、消費者にはなかなか伝わりにくいという現実があります。こうしたロレアルの活動は、環境先進地域とされる欧州では、消費者にも広く認知されているのでしょうか。

パルト:消費者のサステナビリティーへの関心は、各国・地域の文化的背景によって状況が異なると思います。欧州の消費者は環境に対する意識が確かに高いです。アンケートを実施すると、企業活動や製品がサステナブルであることは重要であると、多くの人が答えますから。

 しかし、スーパーマーケットに買い物に行った時に、そうした行動を実際にとるかというと、必ずしもそうではありません。実際の購入の段階では、サステナビリティーの重要性は、忘れられてしまうというのが現実でしょう。

 欧州以外でも、アンケートをとれば消費者の7〜9割は、サステナビリティーが重要だと答えるのではないでしょうか。しかし、「市民」としてはそういう意識を持っていたとしても、「消費者」という立場になると、必ずしもそうではないというのが、どの国にも共通する現状です。

 たばこが健康に悪いと理解していても、実際に禁煙するまでには時間がかかりますよね。これと同じようにサステナビリティーについても、実際の行動につながるまで時間がかかると思います。しかし、時間はかかりますが、いずれは消費者もそうした責任ある消費行動をとりたいと思うようになるはずです。ロレアルは、責任のある消費者に選ばれる会社になりたいと思っています。そうなるためには、我々自身が、まず、責任のある行動をとり、そうした商品を作ることが重要だと考えています。