瀟洒な郊外の家は今や築35年の「古びた家」に

言い換えれば、逆に郊外のニュータウンは、お年寄りの街になっているということですね。

牧野:70歳くらいになる団塊世代が多い街ということになりますね。団塊の世代の多くはニュータウンに一戸建ての自分の城を持つことに憧れ、1980年代くらいにこぞって家を買いました。とりわけ地方で育った人たちには、自分の家を持つということが一人前になるための通過儀礼だったのです。そのために、35年間ものローンを組んだ人も多かった。「金妻」もまさにその夢の城での夢物語だったのですが、住宅ローンの返済が終わってしまえば、瀟洒な住宅も今や、築35年の「古びた家」だったり「さえないマンション」だったりでしかないのです。

「金妻」ニュータウンの家も“一代限り”

金妻の主人公が購入したテラスハウスは人気になり、当時、ロケ地には多くの人が見学に訪れるほどだったそうですが、今頃は単なる「古びた家」になっているのであれば、さびしい限りですね。

牧野:“一代限りの家”ではなく、子供や孫がその家を継いでくれるのであれば、35年ローンを組み、一生を懸けてその家を手に入れた甲斐もありますが、先ほど申し上げたように、共稼ぎの子供たちは郊外の家に住める状況にはないケースが多いのです。

 団塊の世代の人達は、今も大変お元気な人たちが多いです。でも、やはり加齢による老化は避けられないでしょう。団塊世代は、東京オリンピックの年(2020年)には71歳から73歳くらいとなり、男性だといわゆる「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されず生活できる期間、約71歳)を超え、2023年頃には「後期高齢者」(75歳以上)となります。高齢者施設に入居したり、やがて人生そのものから退場していったりして、彼らが買い求めてきた都市郊外の家から離れていきます。団塊の世代は全国に六百数十万人、首都圏にも二百数十万人いらっしゃいますから、言い換えれば空き家予備軍のストックが大量にあるわけです。いずれそれらの多くは賃貸に出されるか、売却されることになるでしょう。

 日本国内の空き家は2013年時点で820万戸を超え、2018年ごろには1000万戸を超えると言われています。さらに2020年の東京五輪の終幕が、空き家の爆発的増加の“号砲”になると言えるでしょう。

日本国内の空き家は2013年時点で820万戸を超え、2018年ごろには1000万戸を超えると言われている。(写真:PIXTA)
日本国内の空き家は2013年時点で820万戸を超え、2018年ごろには1000万戸を超えると言われている。(写真:PIXTA)

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