低金利が続くなか、いかにコストを削るかに注目が集まっています。他行と協力することで身軽になれる、そんな協調領域はありますか。

藤原:これはすごくシンプルで、(事務作業を担う)バックオフィスや、社会インフラとしての基盤に近いところは基本的に共有でいいと思います。

メガバンクが、QRコード決済の規格統一に向けて手を組みました。

藤原:利用者目線で考えると、その決済方法がどれだけ多くの加盟店で使えるかということが大事ですよね。あるいはお店で読み込むべきQRコードが20枚も並んでいるよりは、1枚だけ読み込めばいいほうが楽です。そういう意味ではQRコードは規格統一を進めるべきだと考えました。

反対に、競争領域はどこですか。

藤原:切磋琢磨していかないといけないのが、(顧客と接する)フロントのところ。銀行というのは目に見えるような商品やサービスを作っているわけではありません。(差別化できるのは)実は人なんですね。

 銀行員に求められるのはコンサルティング能力とかソリューションの提供能力、あるいは資産運用のご相談にいかに向き合えるかという能力です。豊かな人間性をもった行員をいかに育てられるかが私たちの重要テーマであり、この点における競争が、本来我々が経営資源を集中すべき分野だと思っています。

父に言われた「銀行員だけにはなるな」

少し話はそれますが、さきほど「安定や持続性を求める学生は必要としていない」という話がありました。藤原会長ご自身は学生のとき、どうして銀行に入ろうと考えられたのですか。

藤原:私は北海道の襟裳岬の生まれです。父は土木関係の仕事をしていて、当時は発電所の建設に携わっていたのです。高度経済成長の父の時代っていうのは、ダムや発電所やトンネルを造るのが「男の仕事」とされていたんですね。一方で父が一番嫌いなのが銀行員だったんです。私が就職活動するときに、一言だけ「弘治、どこにいってもいいけど銀行だけはやめてくれ」と。

 「あの人種が大嫌いなんだ」と、父はそう言うんです。慇懃無礼で、困ったときに傘を取り上げる、とか。そういうイメージが父にあったのです。

 そこまで言われる銀行って、どんな人たちが働いているんだろう。そう思って興味を持って、就職活動してみると、意外と良い意味で強いロマンを持っている人もいることが分かった。(父と立場は違っても)金融という観点から高度経済成長を支えようとしている素敵な人たちと出会えたのです。それなら私は銀行員になって、父が持っているような銀行のイメージを変えようと。