2020年までに研究開発に2400億円を投じる

製品ポートフォリオを急速に拡大しているのはなぜでしょうか。

コンツ:それは、ダイソンにとって自然な流れです。昨年、我々は、2億600万ポンド(約330億円)を研究開発に投じました。それは利益の5割弱にも相当します。また、エンジニアの数も過去数年のうちに徐々に拡大してきました。4年前と比べると、その数は2倍以上に増えています。

 その理由は、ダイソンの発明と革新によって問題を解決できる分野が数多くあるからです。掃除機から空気清浄機能付きファン、LEDライトまで、既に様々な分野に製品の幅を広げていますが、実際、これからさらに新たなカテゴリーに参入していきます。

過去を振り返ると、ダイソンが手を広げたカテゴリーでは失敗もあります。一時、洗濯機にも参入しましたが、消費者に受け入れられず失敗しました。過去の拡大戦略と、何が違うのでしょうか。

コンツ:何か新しいものを発明するビジネスをしている限り、革新的なソリューションを生み出す際には常にリスクも伴います。ある新技術が消費者の手元に届くまでには、数多くの失敗があります。我々の研究所では、何度も何度も失敗を重ねているのです。

 例えば、ロボット掃除機について言えば、実は2005年に世界最初の製品を発売することもできました。しかし、まだ性能的に不十分だと判断して、改良を重ねてようやく昨年、発売したのです。

 過去20年程度を振り返れば、我々が市場に投入した製品の多くは成功していますが、中には1つか2つ、うまくいかなかった製品もあります。しかし、それでいいのです。そこから学ぶことができますから。我々は今後も、リスクを取り続けます。それが、企業を成長させ、世界にある大きな社会問題や技術的な課題に取り組む唯一の道です。

今年、英本社に新たに研究開発センターをオープンしますね。

コンツ:2020年までに15億ポンド(約2400億円)を研究開発に投じることを決めていますが、新たな研究開発センターの開設は、その一環です。まだ建設途中ですが、もうすぐ立ち上がります。そこでは、バッテリーだけではなく、我々の未来を担う技術の開発に取り組みます。

 これまでも利益のかなりの割合を新技術に再投資し、新たな製品を生み出してきました。例えば、3月24日に日本で発表した、新たな空気清浄機はその1つです。

3月24日に発表した「Dyson Pure Cool Link」

 昨今、家庭内に外から汚染された空気が入り込んでいることが問題になっています。例えば、日本では、(PM2.5など)国外から飛んでくる汚染物質が問題になっています。そのため、生活環境を安全に保つための機器が必要とされています。

 また、我々自身も日々、生活環境を汚染しています。料理など日々の活動を通じて、化学物質や様々な汚染物質を家庭環境に持ち込んでいます。しばしば、家庭内の空気は屋外よりも汚染されていることがあるほどです。

 こうした問題を解決するために開発したのが、「Pure Cool Link」と名付けた空気清浄機能付きファンの技術です。センサーで室内の汚染レベルを検知し、自動的に空気を洗浄できます。スマートフォンから室内の空気の状況を把握したり、遠隔で機器を作動させたりすることも可能です。

 さらに、4月末には、日本で全く新しいカテゴリーの新商品も発売します。まだ詳細は言えませんが、こうした新技術の開発を、新たな研究開発センターで加速していきます。