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源光:私は1953年に神戸市に生まれました。大学では哲学を専攻し卒業後、3年余りフランスへ留学しました。留学時代に出会ったフランス人の知人が仏教に詳しく、彼と話しているうちに仏教への思いが強くなりました。私の仏教はフランス仕込みです(笑)。ただ本格的に勉強を開始したのは帰国後(20代後半)からです。

しかしフランスから帰国後、すぐに仏門を目指しはしなかった?

源光:当時は生活のため、留学で身に付けたフランス語を生かし通訳業を1年ほどしました。ただ通訳業は収入が不安定で、30歳を前に「自分はこのままでいいのか」という焦りの気持ちが芽生え、関西の旅行会社に就職しました。旅行も好きでしたから。

 ところが働いてみると旅行がどんどん嫌いになっていくんですね。体育会系の企業で仕事の中心は飛び込みセールです。当時の業界としては当たり前の慣例だったのですが、お金に汚い場面も目の当たりにし、結局3年余りで新宿の広告代理店に転職しました。

なかなか見つからない自分の居場所

なるほど。

源光:広告の世界は非常に水が合ったんですが、転職2年目で取引先からヘッドハンティングを受けて健康器具メーカーに移ります。ここがブラック企業で、訴訟を何件も抱えていたことが分かり、印刷会社へ移ります。ですが、ここの仕事は中身が全くクリエイティブでなかった。

なかなか自分の居場所が見つかりません。もう30代半ばです。

源光:さらに印刷会社で2年あまり勤めた後、コネでスーパーゼネコンに中途入社します。入社後、しばらくして子会社に転籍し、大阪勤務となりました。自分が得意とする企画の仕事も親会社から沢山舞い込んできた。時はバブル真っ盛り。プランナーとして本当に充実した毎日を過ごすことができました。

よかった。この世界の片隅にやっと居場所が見つかりました。

源光:そんな私を、この国で暮らす中高年であれば誰もが経験した2つの災いが襲います。

2つって…。

源光:バブル崩壊と、阪神大震災です。

やっぱり。

源光:バブル崩壊では、業界の仲間が何人もリストラに合い、自殺した人もいました。

やはり借金が原因ですか…。