あらゆる産業のデジタル化が進む中、世界的にソフトウエアのプログラミング言語を理解する重要性が高まっている。欧米では、子供に早くからプログラミングを学ばせようとする親が増えており、「コーディング(プログラムのコードを書く行為)」をテーマとする教育講座はどこも活況を呈している。

 一方で、自身がプログラミングを学んだことのない親の多くは、どうフォローしていいのか分からないという悩みを持つ。子供が理解したのかどうかを把握するのが難しく、理解できずに悩んでいても、的確なアドバイスが与えられない。子供にとっても、何のためにプログラミングを学んでいるのかが分からず、途中で挫折してしまうケースも少なくない。

 そうした状況の中、欧米では今年1月にレゴ(LEGO)が発表した新製品「レゴブースト(Lego Boost)」が注目を集めている。モーターやセンサーを搭載したロボットをレゴブロックで組み立て、簡易プログラミング言語を使って動かす。レゴで遊びながら、自然にプログラミングの本質を習得できることが特徴だ。対象年齢は7歳からだが、プログラムを知らない大人でも楽しめるように設計されている。

 今年1月に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES」での発表以降、ネットを中心に話題が沸騰しているレゴブースト。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボとも連携し、今後、様々なプログラムを投稿できるコミュニティの創設なども検討されている。製品開発の狙いと魅力について、レゴのサイモン・ケント・デザインディレクターに聞いた。

(聞き手は 蛯谷 敏)

「レゴブースト(Lego Boost)」開発メンバーのサイモン・ケント・デザインディレクター。(写真:永川 智子、以下同)

苦手意識を持つ前に、プログラミングを体験してもらう

今年1月のCESでの発表以来、「レゴブースト」は大きな反響を呼んでいます。ブーストはどのような経緯で生まれたのですか。

ケント:製品開発の狙いは、端的に言えば、自分でプログラムしたレゴを動かす楽しみを、より多くの子供たちに体験してもらうという点に尽きます。

 マーケティングの観点から言えば、世界的に高まっているプログラミング教育へのレゴなりのアプローチという面も、もちろんあります。製品開発を大きく後押ししたのは、日頃から実施している子供たちへのリサーチの結果でした。

レゴが2017年8月に欧米で発売する「レゴブースト(Lego Boost)」。日本では2018年の発売を予定している。

 ある時、デンマークで、プログラミング教育についてのリサーチをしました。プログラミング熱が高まっているのはここデンマークでも同じですが、すべての子供たちがコードを書くことに必ずしも前向きなわけではありません。

 多くの小学校で、生徒たちに「みんなはプログラミングが好きですか?」と聞くと、傾向として、クラスの半分くらいは、勢いよく手を上げますが、残りの半分くらいは、下を向いています。プログラミングが苦手な理由を聞いてみると、大体意見は一致していて、仕組みが難しいと答えます。

 苦手意識を持った子供たちは結局、学年が上がってもプログラミングの本質を理解できず、結果として遠ざかっていってしまいます。それらの苦手意識を持つ前に、まずプログラミングが何のために使われているのかを体験してもらう製品が必要だと考えました。