関心はあるけれどお任せ

調査リポートの中で、「買物に関心はあるけど『あえて選ばない』生活者」という、新しい消費者像を提示していますね。「20代男女が中心で、自分のセンスに合ったものの範囲内で効率的に買物したい」というひとたちです。こうした新たな消費者像は、どんな調査結果から導き出したのですか。

山本:先ほど27の商品カテゴリーについて「お任せ」か「自分で選ぶか」によって分けましたが、さらに、そのカテゴリーに「関心があるかないか」を聞いたのです。普通に考えたら、「関心がない」から「お任せ」したいのだろうと思うのですが、案外違ったなという発見があったのです。その商品に「関心はある」のだけど、選ぶのはもう面倒で「お任せ」したいというものが最も多かった。27のうち9がここに分類されました。家電、情報機器、スマホアプリなどです。

出典:博報堂買物研究所

商品に関する情報が膨大というカテゴリーが、ここに分類されているような気がしますね。

山本:その通りです。化粧品もそうなんですね。情報が多くて、買うためにチェックしなきゃいけないポイントも多いというふうに感じられる商品。いわゆる情報ストレスが多いという買い物の分野でした。ストレスフルだから任せられるものなら任せたいなということです。旅行・交通もここに分類されています。旅行は好きなんだけれども、ちょっと自分ではもう無理だな、選びたくないなみたいな気持ちなのでしょう。

 そしてこのように、関心はあるのだけど、お任せするというような買い物のやり方をより多くしている人たちを分析しました。この人たちは、何となく自分の好き嫌い、好みぐらいはあるんですけど、その好みであらゆる情報を見るのはもう疲れちゃっているから、誰かに絞り込んで商品を提案してもらったり、あえて絞り込んだ売り場に行ったりして、この中から、自分は「これ好きかも」というので選んでいる。商品と情報が溢れた海の中で、「もう僕はここしか見ません」というふうに決めて選びたいというような意識があるというところが見えてきたんです。若い世代に比較的多くみられる傾向です。

そこで選んでくれる人というのは、いい店員さん、目利きみたいな人でしょうか。

山本:そうですね。目利きの人だったり、最近言われる、いわゆるインフルエンサーみたいな人だったり。最近だと、情報技術の活用によって、自分の購入履歴からいくつかお勧めしてほしいなというような期待感もあります。それと、お店のセンスというのもあります。このお店はもう自分の好きな世界観だからみたいなことで、基本、僕はお店そこしか行かないですみたいな人もいますね。ある意味そこで絞り込んで生きているということですね。

こうした消費者の傾向に敏感に反応している企業はありますか。あるいはこうした消費傾向を示すようなことが、実際の売り場で見えますか。

山本:例えばコンビニエンスストアで言うと、PB(プライベートブランド)商品に対する安心感が高まっていると思います。これは、ある種の商品の絞り込みに近づいているなという気がします。これを買っておけば大丈夫でしょうという。特に今、流通の変化で言うと、近いところで買い物をするという小商圏化に向かっています。高齢者も増える、単身者も増えるという状況になってきますので、車でショッピングモールに行くということがなかなかしにくくなってくる。その一方で、コンビニとかいわゆるミニスーパーみたいなものの影響力がどんどん増えていくのではないでしょうか。その中で、PBの影響力がどんどん強まっているなと感じます。