「世の中の情報量多すぎる」急増

これはとても興味深く、示唆的ですね。

山本:スマートフォン普及以降、24時間、四六時中ばんばんプッシュ通知が来て、この情報にみんな飲み込まれているような状況です。そういった状況を強く感じているのが、40代以下の人たちです。総務省によると、スマートフォンの普及率が、40代で8割ぐらいです。30代で9割、20代は約94%です。若い人は情報処理能力があるから大丈夫かと思いきや、そうとは言えない。

 弊社グループの博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の調査によると、「世の中の情報量は多すぎる」という生活者が、16年の42.1%から、17年の52.0%へと、1年間で約10ポイントもアップしています。それと「インターネットの情報は、うのみにできない」という不信感をもつ人が、79.0%に上ります。1年間で約7ポイントも上昇しました。実はこのようなストレス意識は若い年代でも高いのです。情報過多の中で、ものを選べないよという意識は若い世代ほど強いのは当然だろうなと感じますね。

 人間の情報処理能力は、年齢が若くても当然限界があるということですね。

山本:そうですね。やっぱり脳みその機構は基本的には原始時代からあまり変わってないということでしょう。若い人たちの生活を見てみると、四六時中、ずっと「LINE」をやって、「Twitter」をやって、「Facebook」を見て、「Instagram」やって、ゲームもやってみたいな。四六時中ずっと、チェーンスモーキングのように、〝チェーンビューイング〟をしている。さらに、スマートフォンをやりながら、テレビも見るし、人によってはタブレットも使うし、パソコンも使うというような、生活状況にある。そうなると、じっくり情報を吟味するとか、検討するというような行動がしにくくなる。判断をしにくくなるということがあると思います。

 2000年代に入って、インターネットの普及に伴って、価格比較サイトなどが出てくると、じっくりと商品のスペックとか値段をちゃんと比較して買い物ができるようになりました。いま私は30代後半ですが、こうしたことがうれしかった世代なんですね。しかし、2000年代後半から一気に情報が、累乗的に増えるのです。総務省のデータをみると、国内のデータ流通量は、2004年から2016年にかけて約32倍へと、爆発的に増えている。

 この結果、情報は多すぎるし、しかもうのみにできないという思いが強まった。ステマ(ステルスマーケティング)の問題や、フェイクニュース、あとクチコミの買収問題なんていうのもあります。賢く情報を集めて比較しようとしても、どうすればいいのかというような状況になってきました。

2000年代に入ってからの「賢い買い物」の時代からステージが変わってしまったということですね。

山本:ちょっと人間の生理的にオーバーフローしてしまった。じっくりものを考えるとか、そこは判断する、検討するという時間が持てなくなっている。玉石混交の情報が爆増したという状況の中で、賢く買い物しようとしても、もうお手上げ状態というところになってしまっているのです。