それって「夢の金融商品」じゃないですか! このVXXに3000万円入れるんですよね。とすると年間1500万円の利益。余裕のアーリーリタイアです。加えて7000万円分のハイイールド債などへの投資もあるから…。
玉川:3つの投資商品がすべて毎年想定どおりに利益を生むわけではありません。時には想定を大きく下回る時もあるでしょう。それを踏まえても、毎年、手取りで900万円程度は見込めるのではないでしょうか。
いずれも日本国内にいては簡単に買えないけど、通勤ラッシュやパワハラ・セクハラ地獄を抜け出し配当金で暮らせるなら、海外の証券会社に口座を開くことくらい楽勝、と思う人もいるはず。マネーフォワードの瀧さん! 1億円あれば、全然アーリーリタイア行けるじゃないですか(聞き手が何の脈絡もなく、フィンテックの雄、マネーフォワードの瀧俊雄取締役の名を出し、テンションが上がった理由は「宝くじで1億円以上当たった人の末路」参照)。
玉川:もちろん、あくまでこれは机上の計算で、本当にこのプランで引退すると、場合によっては、やがて苦境に陥りかねません。
え。
玉川:このポートフォリオの生命線であるVXXは、VIX指数(VIX先物)に連動するとされるETNです。そのVIX指数は、リーマンショックやチャイナショックなどの大きな経済変動があった時、暴騰することがあります。VXXを売っていると、そんな時、大きな損を出してしまいます。
無念、一回でも大きく毀損するとさようなら
そりゃ恐怖指数ですからね。恐怖が来ればそうなるでしょうよ。でも、統計的には毎年5割ずつ下がっていくわけですから、一時的にハプニングでVXXが暴騰して損をしても、中長期的には得するんじゃないですか。
玉川:そう思いますか。急騰によってロスカットされたらどうなります。売りは損失青天井です。VXXが暴騰していけば、売り手の損失は限りなく膨らんでいきます。証券会社に入れている金額次第ではあっさり強制ロスカットされる場合もあります。急なショックで暴騰しても、事件が落ち着けば急騰したVXX価格は急落しますから、ロスカットさえされなければ含み損が出ても元に戻ります。でも、ロスカットされてしまうとそうはなりませんし、ポジションがない間にVXX価格が急落し元の水準に戻ってしまうと、元本を回復する機会も失われてしまいます。
下手をすれば、3000万円が消えかねない、と。
玉川:投資商品のインカムゲインで食べていく戦略は、一度でも元本が大きく毀損すると回復不能になるリスクがあるんです。それに仮に900万円首尾よく利益が出ても問題があります。今の時代に40~50代で1億円の資産を貯めるには、2000万円以上の年収を何年にも渡って続けなければ難しいと思います。そういう人たちは貯金額も多いですが、消費額も多い。「気分は富裕層」なんです。おそらく900万円程度ではいずれフラストレーションが溜まるはずです。
そんなもんでしょうか…。
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