グローバル競争、リードタイムは短くしたい
ZARA、H&Mは「売り切れ御免」というように素早くファッションのトレンドを取り入れるビジネスです。アイテムごとに大量生産するユニクロは、かなり前から作り込む必要があり、最新トレンドを取り入れにくいという指摘もあります。
勝田:実際、正直ベースで言うと、さっきの10年間で世界が変わったというのと同じように、トレンドのスピードも10年前と今のスピードと違うんですよね。だから我々も多少そこは対応できるようにスピードを今速めています。柔軟性はいると思うんですよね。リードタイムを短くしていかなくちゃいけない。ただ大事に着れば10年でもずっと着られる服を作らなくちゃいけないのは変わらないんですよ。10日で作っても、1年かかって作ってもね。
「ファストファッション」にある使い捨てのイメージは避けたいということですか。
勝田:そこです。僕たちは「使い捨てではない」ということを、もっと突き詰めていかなくちゃいけない。コラボレーションを通して刺激とか、学びとか、ヒントをもらいながらやっていかなくちゃいけない。結局最後は、ずっと着られる本物を1人でも多く、いろいろな国で、年齢も関係なく買っていただいて、それを使って自分の個性を表現してもらえたらうれしい。それが洋服屋みょうりに尽きる、ということです。
ファーストリテイリングは、経営幹部の入れ替わりが早い印象がありますね。
勝田:それは否定できませんよね。
11年間続けてきた理由はなんでしょうか。
勝田:もともとこの会社に入った理由が、時代が変わるなというのがあったのです。アメリカのファッション業界の友達の半分は、僕がバーグドルフを辞めて、ユニクロに移ると聞いたらクビになったと思ったんです。日本人がせっかくつかんだバーグドルフの役員のポジションを捨てるわけないだろうと。でも僕は2つの理由があって、ここに来ました。1つは、一般的にお金の使い方が変わってきたなと思ったんですよ。ひとが求めるものが、高級な時計、イタリアのブランドの服よりも食べ物とか教育とか、いわゆる物の満足感から精神的な満足感にシフトしていると思ったんですよ。それとファッション業界でもブランドそのものよりも、着る人の個性が大切なんだという時代になったなと思っていた。そんなときにユニクロから話があったので、自分なりにユニクロを研究してみたんです。お世辞にもおしゃれじゃないけど、品質と値段はすでにもう世界でどこに行っても、完璧に競争力があると思ったんです。本物に化けるかもしれないと思って、入社しました。結構先見性あったんですよ(笑)。いっぱいつらいこともありましたが、また新たに挑戦したいことが、頭の中にいくつもあるので、クビにならない限りはずっといろいろなことをやっていくのかな、みたいな感じですよね。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「キーパーソンに聞く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?