松本:われわれのホームページに突然、書き込みが入りまして。ブラジルのイタイプダム(ブラジルとパラグアイの国境を流れるパラナ川に作られたダム)の管理をしている者だが、おたくの技術でひび割れを点検したいので一度、技術を見せてほしいと。ご多分に漏れず、無償でブラジルまで来てデモをやってほしいと書いてありました(笑)。

あまりに巨大だったイタイプダム

 米国国内なら無償で行くのもやむなしですが、ブラジルまで行くのはちょっと……。航空券とホテル代、機材も全部運んでデモした揚げ句に、参考になりました、では困りますので。半ば断るつもりで交通費とホテル代の見積書を送り返したんです。

 そうしたら、こちらで航空券を取るので来る人の名前を教えてほしいという返信が来まして。そこまで言うのであればと、2人でブラジルに行ってデモしてきました。

 デモの評価はとても高く、ぜひこの技術でやってほしいと言われたのですが、イタイプダムはあまりに巨大でコンクリートの量が半端ない。半年以上、泊まり込まなければ無理なので、最終的にお断りしたんですよ。

 すると、この機械を売ってほしい、使い方を教えてもらえれば自分でやるから、と先方がおっしゃる。そこでカメラの値段とトレーニングの見積もりをだしたところ、それなら買えるから売ってくれという話になりまして、リオデジャネイロ・オリンピックの最中にトレーニングに行きました。彼らは今、われわれの点検機器を使ってダムを検査しています。

先ほど13人の社員がいると話していました。人員は増えているのでしょうか。

松本:1年前は10人もいなかったと思います。受注が増えるのに伴って人は増やしています。ただ、売り上げの伸びと人員増のバランスは当然考えていまして、身の丈にあわせて少しずつ増やしているという感じです。一気に攻めて売り上げがついてこなかったら大変ですので。

価値あるモノにはチャレンジしよう!

NEXCO西の前身は旧道路公団です。道路公団にはリスクを取るイメージが全くないのですが、なぜ海外事業を強化するという話になったのでしょうか。

松本:冒頭で申し上げた通り、民営化がきっかけです。民営化で何か新しいことをしようという風潮が出てきたんです。

 民営化というと、みなさんサービスエリアがよくなりましたという話をされますが、道路公団時代から培ってきた技術があるので、高速道路の料金収入だけでなく、それを生かしたビジネスを展開しよう、と。また、民間から来た当時のトップが海外展開に積極的だったのもあります。

 公団時代は国の指示に従って道路の建設管理を手がけるのが仕事でしたから、成功するかしないかという案件に挑戦しようというようなことはありません。ただ、リスクはあるにせよ、挑戦する価値のあるモノにはチャレンジすべきだと当時のトップも強くおっしゃっていたので、やってみよう、と。