松本:はい。無償の検査をする前に、フロリダ州のDOT(Department of Transportation:運輸省)に行って、「こんな技術があるのですが……」と売り込んだんですが、彼らとしても見たことのない技術ですぐに契約できないと。それで、ちょっとやってみて、その結果で判断しましょうという話になったんです。

初めてだらけの会社づくり

 その後、結果を報告したところ技術レベルはとても高いと評価いただきました。コストも概算を説明したところ、それならばぜひ使ってみたいというコメントをいただいたので、2011年の1月に会社を作りました。こちらに法人がないと仕事を引き受けることができなかったんです。

 もっとも、社内で米国で会社を作った人は誰もいませんでしたので、「米国会社法」という本を買って、定款の作成や登記のために弁護士が必要という初歩の初歩から勉強して。会社を作る準備に半年くらいかかりましたね。

自動車で行ける距離が対応できる限界(写真:ネクスコ・ウエスト USA提供)

書籍を見ながら法人を立ち上げたんですか。

松本:全く初めての経験でしたので。

フロリダ州政府に高い評価をもらったという話でしたが、その後は順調にいった?

松本:それがなかなか難しくて……。「日本の高速道路で使っている実用レベルの技術です」「フロリダ州でこういうパイロット事業をやって認められました」という話を営業でしても、受注実績がないのでなかなか発注してくれませんでした。

 日本の実績は関係ない。自分の州で実績がないのであれば他の州でいいから米国内の実績を作ってきてもらわないと無理ですよ、と。他の州に行っても、また別の州で実績を作らないと発注できませんよ、とたらい回し。最初に発注してくれる人を探すのにとても苦労しました。

フロリダは?

松本:無償点検をやった後に案件がなかったわけではないのですが、その時は法人ができておらず、タイミングが合わなかったんですよ。結局、われわれに赤外線検査が有望だとアドバイスをくれた会社の下請けに入ることで、最初の実績を作ることができました。その会社は赤外線の検査技術を持っていなかったので。