ニューヨークの道路もガタガタでひどいものです。

松本:インフラが悪いというのはみんな認識していますが、なかなか直す予算がつきません。基本的に共和党はインフラ投資に消極的です。民主党がインフラ投資の法案を出しても共和党とのせめぎ合いの中で予算が削られて、まとまった予算が付かないという状態が15年くらい続いています。

ガソリン税は20年も据え置かれたまま

米国では道路や橋梁の老朽化が激しい。ピックアップトラックを使った乱暴な雪かきも道路劣化の一因。写真はニューヨーク近郊の住宅地。穴ぼこだらけ

道路管理は基本的に州政府の管轄でしたよね。

松本:そうです。道路管理の予算はガソリン税が原資で、いったん連邦政府が吸い上げて、各州の道路の状況や交通量などを考慮して、交付金のような形で州政府に分配しています。日本の道路特定財源(ガソリンにかかる揮発油税などの税収を、立ち遅れていた道路整備に充てていた。2008年度限りで廃止)のようなものです。

 こちらの予算もガソリン税を上げられればいいのですが、ガソリン税を上げると選挙で負けてしまうので、共和党も民主党も手をつけたがらない。前回、ガソリン税が上がったのはクリントン政権時代ですから、もう20年もガソリン税は上がっていません。

米国法人の設立は2011年です。会社を設立するまではどういう状況だったのでしょうか。

松本:まずはNEXCO西の技術の中に米国で通用するものがあるのかどうか、棚卸ししました。われわれは道路の点検技術の他に、ETCや舗装関連など様々な技術を持っています。その中で、米国でビジネスが成立するものがあるのか、と。そのために、道路の維持管理などを手がける米国の会社を訪ねてインタビューを繰り返していました。

 その過程で、赤外線を活用した道路点検技術は米国にないというアドバイスをもらいまして、これなら通用するかも、という話になったんです。それがきっかけになって、フロリダ州の南端にあるセブン・マイル・ブリッジの点検につながりました。

キーウェストに向かう橋ですね。

松本:そうです。海の上を橋が7マイル(約11キロ)も続いているので、点検にかなりの時間がかかっていました。でも、われわれの赤外線技術の場合、船の上からカメラで撮影すればコンクリートのひび割れや浮きは違う温度で検知されるので効率的に点検ができる。

最初に無償で手がけたセブン・マイル・ブリッジ(写真:Florida Keys News Bureau/AP/アフロ)

すぐに受注が取れたんですね。

松本:いえ、セブン・マイル・ブリッジは無償でした。

タダ?