AI(人工知能)プログラムが囲碁の世界トップクラス棋士を破った。「10年以上先の出来事」が早くも実現したことで、さまざまな仕事がAIに置き換わる日も遠くないと思う人もいるだろう。顧客の問い合わせなどを受けるコールセンターは、置き換わりやすいと職種との指摘もある。果たしでどうなのか。業界大手、ベルシステム24ホールディングスCIO(最高情報責任者)の松田裕弘執行役員に話を聞いた。
(聞き手は秋場大輔)

1991年4月、三菱電機入社、2003年8月、日本総合研究所 入社。2006年10月 イーバンク銀行(現・楽天銀行)入社、 システム本部システム企画開発部マネジャーに就任。2012年7月、同社執行役員システム開発本部長兼楽天バンクシステム社長。2014年1月、ベルシステム24執行役CIOテクノロジー本部長、同3月、ベルシステム24ホールディングス執行役員CIO、現在に至る。
囲碁でAIプログラムが世界トップクラス棋士を破るには、10年はかかると言われていたのに、先日、あっさりと勝利を収めました。さまざまな仕事がAIに置き換わる日も遠くはないと思わせる出来事だったと思います。
松田:海外の研究論文に、どういった職種はAIに置き換わりにくいのかというのがあるんですよ。最も置き換わりにくいとされたのがセラピスト。いわゆる顧客の問い合わせ対応のようなコールセンター業務は315位でした。
置き換わりやすいということですか。
松田:顧客対応は幅広いんですよね。例えばカード会社のコンシェルジェサービスのような「カスタマーサービス」も顧客対応の一種で、論文では置き換わりにくいと位置付けられています。しかし、顧客からの問い合わせなどに機械的に応対するのであれば、それはAIに変わりやすいだろうということのようです。
ではコールセンター業界も技術革新の波に対応する必要があると。
松田:AIについては後ほどお話しするとして、コールセンター業界の技術革新はあまり知られていないけれど、かなり進んでいます。
ベルシステム24の創業は1982年。全国26カ所にコンタクトセンターを持ち、保有席数は1万3000超。年率10%のペースで増えています。企業が「お客様相談窓口」を設けていますが、その業務を受託するのが基本です。業界大手であることに加え、草分け的な存在という自負もあり、顧客対応に付加価値を付けようと技術開発を続けています。
例えばどんな技術革新があるのですか。
松田:どこかの企業のお客様相談窓口業務を請け負っていて、その窓口に消費者から問い合わせがあるとするじゃないですか。その問い合わせにうまく対応できる人と、そうでない人がいる。そこで、かかってきた電話を誰に着信させるか、すなわち対応能力の高い人になるべく着信させる技術というのがあります。これは初歩的なものです。
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