運用難は続きそうですね。やや落ち着きは取り戻しましたが、日本株の先行きはどう見ていますか。
黒田:円高もあり、日本企業の業績の伸びは見込みにくい。日経平均株価で2万円に戻すことは考えにくく、現状の1万6000~1万7000円を中心にした横ばい相場がせいぜいではないかと見ています。日銀も、国債などを大量に買い取る量的質的緩和をさらに拡大し、継続するのは難しいからマイナス金利の第二、第三弾に走らざるを得なくなるだろうが、効果は限られるでしょう。
中国経済の腰折れは想定していない
世界経済の最大の懸念となっている中国経済の先行きはどのように見ていますか。
黒田:国有企業の過剰設備、過剰債務の問題はまだ大きく残っていますが、先日の全人代(全国人民代表大会)では、緩やかではあるものの調整をしていく事は決めました。また、個人消費はしっかりしているし、約2兆元をかけて交通網整備をする方針を打ち出しました。景気刺激策もとるわけですから腰折れということはないのでは。
懸念とされる人民元安は、さらに続くと見ています。中国当局は先日も金融緩和を実施しましたが、一方で米国は利上げですから、人民元安が続く環境ではあります。ただ、あまり人民元安が続くと、他の新興国も対ドルで自国通貨安が進む可能性があり、新興国景気への打撃になるかもしれません。新興国経済の成長鈍化が長引けば、世界へのマイナス影響も出てきます。そこは心配して見ています。
昨年秋から世界経済のもう1つの不安要因となってきた原油安をどう見ていますか。
黒田:これから2年程度を考えると需給バランスは改善していくのではないでしょうか。サウジアラビアやロシアなどが原油増産の凍結を決め、米国のシェールオイルも、価格下落で業者の淘汰が進んできました。生産量はしばらくは増えないはずです。唯一、不安なのは核開発疑惑に対する欧米の経済制裁が解除されたイラン。でも、これまで、増産を止めていたため、すぐには増やせず、しばらくは需給を乱すほどにはならないと聞いています。
原油価格が持ち直して来れば、資源国や資源採掘業者の信用不安が深刻になる恐れは薄れるはずです。
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