自らの経験から語れる政治家が少ない

もう少し、企業経営と政治の比較をさせてください。日ごろ、経営改革を実行したり、業績を回復させたりしている経営者を取材していると、「この人が経営者だったから成し遂げられたのだろう」と感じることが時々あるんです。胆力とか威厳のようなものも感じる。一方、政治の世界に目を転じると、現政権の顔ぶれをはじめ、リーダーと言われる人がどうも見劣りする。松田さんは両方を見て、知っているからどう思いますか。

松田:やはり政界は偏った人たちしか入ってきていないなというのが私の印象です。安倍総理を含め、2代目、3代目ばかりじゃないですか。本当にゼロから民間でやってきて、突然、政治の世界に入って大臣になっている人なんて少ないですよね。

 戦後しばらくはそういう人がいました。みんなの党の党首だった渡辺喜美さんのお父さんの渡辺美智雄さんなんか、そういうイメージでしたね。でも、ああいう人が少なくなって、家業とか身分保障みたいになってきていますよね、政治家も。

 国会議員になって、いろいろな国会議員の方とお会いしてきました。私は多様な意見を聞くのが好きですから、共産党の人の話を聞くのも面白いと思うんですよ。ただ、自分の考えとは違いますが…。

 その違う考えをなぜ持てるかと言えば、自分の経験を通じて培ってきたものだからです。でも、ほかの多くの政治家って自らの経験を土台にした主張じゃないんですよね。

 聞いてきたこと、読んできたこと、あとお父さんなど上の政治家から直接教え込まれたことなんですよ。本当に世の中を見て、経験してきたことから、この結論にたどり着いたという人がものすごく少ない。そこに危うさというか、物足りなさを感じますね。

自分の考えとは違う意見にも謙虚に耳を傾けるという姿勢が、今の政治には欠けています。拒絶しているうちは、多様性というものは生まれてこないでしょう。日本の企業は多様性を重視するようになってきていますが、政治の世界はまだそこに達していません。

松田:安倍政権になってから、何か急に雰囲気が変わったなとは感じますね。この前の高市早苗総務相の「放送法」を巡る発言にしても、あれだけ問題になってしまうのは、やはりみんな危機感を持っているからなんですよ。

 何でもかんでも自分の思い通りになればいいんだという経営者だと会社がダメになるのと一緒で、国のリーダーもそうなってしまうと国をダメにしてしまう。より幅広く、いろいろな人の意見を聞いて最終決断するくらいの人でないといけないなと思いますね。